食品の安全に関するマネジメント・システムの国際規格。食品の品質管理を正しく運用できていることを証明する目的で、食品加工業などが取得を進めている。

 品質表示の偽装や中国産野菜の残留農薬といった問題が相次いだことを受け、食品の安全・安心に対する消費者の意識が高まっています。このような背景から、食品の安全に関するマネジメント・システムのISO(国際標準化機構)規格である「ISO22000」に注目が集まっています。

 同規格は2005年に発行されました。認証審査・登録を手掛ける日本品質保証機構によると、国内では2007年11月時点で119社が認証を取得しています。

 食品の衛生管理を対象とする国際標準には、HACCP(危害分析および重要管理点)というシステムがあります。製造から消費者が口にするまでの各段階で想定される危害を分析し、重点的に管理する場所を設定して危害の発生を防ぐ仕組みです。HACCPでは、危害の分析や監視方法の設定など「7原則・12手順」の実施が求められます。

 このHACCPの7原則・12手順を、品質マネジメント・システムの国際規格であるISO9001の考え方にのっとってシステム化したのがISO22000です。ISO9001が求める品質管理のPDCA(計画・実行・検証・見直し)を、食品の供給工程に適用します。

 食品を供給する工程にかかわる業種全体で守ることを目的とする点も、ISO22000の特徴です。HACCPでは主に製造工程の衛生管理を想定していましたが、ISO22000は飼料製造者や1次食品の生産者、さらには輸送業者、小売り業、包装材料や添加物などを製造する各種食品サービス業にも適用できます。職種も、製造部門だけでなく経営者や営業部門を含めた総合的な対応が求められます。

効果◆管理品質を取引先などに証明

 食品を取り扱う企業は、品質管理を徹底するのはもちろん、最近では正しく管理していることを対外的に証明する必要にも迫られています。ISO22000 の認証を取得しておけば、HACCPを正しく運用・維持・改善する体制が整っていることの証明になるため、取引先や消費者などにアピールしやすくなります。

 さらに、マネジメント・システムを運用する過程で顧客が求める内容を把握し、その要求水準を守っていくことになります。これにより、顧客満足度の向上も期待できます。

事例◆本社と工場が一体となって取得

 ニチロは2007年11月までに本社と国内の全直営工場にISO22000の認証を取得しました。同社は以前からISO9001を取得するなど品質管理に力を入れていましたが、本社や各工場が個別に認証を受けていました。今回は本社と工場が一体となって品質管理に取り組む体制を確立し、ISO22000 の認証を取得しました。