KPIとは、業務の達成度を定量的に把握するための指標のこと。Key Performance Indicatorの略で、「重要業績指標」と訳される。

 例えば「顧客満足度の向上」を企業の経営目標として掲げた場合、抽象的なため目標の達成度が分かりにくい。そこで、「顧客のリピート率」や「アンケート調査の肯定回答率」といった指標を選び、抽象的な目標を具体的な数値に落とし込んでいく。その変化を時系列に見ることで、適切な改善策を講じることが可能になる。この考え方を自社のWebサイトで応用する企業が増え、「WebサイトKPI」という言葉も定着し始めている。

 ただ単に数値化されているだけではKPIとして不十分である。たとえばPV(ページビュー)など「量」の増減に一喜一憂しているだけでは改善点は見えにくい。Webサイトの目的を明確にし、そこに至る重要なポイントを評価する指標を設定することで、課題も見えてくる。例えばサイト来訪者のうち資料請求ページまで到達した人の割合や、資料請求ページ到達者のうち最終的に申し込みを完了した人の割合など、成果を左右する質的に重要な項目が評価指標になっていることが重要だ。前者が低い場合はナビゲーションに問題がある可能性が高く、後者が低い場合は資料請求フォームや質問事項に問題がある可能性が高い。

 KPIは、Webサイトの種類や目的によって最適なものを選ぶ必要がある。多くのPVを集めて広告収入増を目指すメディア型ポータルサイトなら、PVはもちろんのこと、1人当たりPV、1人当たり滞在時間などに注目して、これらを上げるページ構成やコンテンツ作りに努める必要がある。

 一方、購入客がトラブルで困った時に見るようなサポート型サイトの場合は、1訪問当たりのPVをKPIに設定し、これを下げることを目指すとよい。たくさんのページを見てもらうことが目的ではなく、ユーザーが該当するトラブル事例ページにすぐにたどり着けることが使い勝手の良さであるためだ。

 Webサイト運用の目的をはっきりさせてKPIを設定し、その値を定点観測して改善していくことが、Webで成果を上げるためには欠かせない。