このところ「有機ELディスプレー」に関する報道が盛んになっています。有機ELディスプレーには液晶ディスプレーに比べてコントラストが良い、表示の応答性が良い、視野角が広い、薄型化が容易、発光効率が良いため省電力といった長所があります。しかしその半面、高解像度化や量産化が難しい、寿命がやや短いといった課題があり、これまでは携帯電話や携帯情報端末などの小型ディスプレー用途にとどまっていました。NECや三洋電機など、いったん試作品を開発したものの事実上撤退したメーカーもありました。
しかし、ソニーは960×540画素の11型有機ELテレビをこの12月から20万円で発売すると10月に発表しました。最も薄い部分の厚さはわずか3mmで、コントラストが100万対1以上と液晶より高いなどの特徴があります。
有機ELテレビの画質の前評判は上々です。液晶大手のシャープは対抗意識を露わにしており、10月の技術展示会では有機ELと同程度まで薄くした試作品を発表しました。
より大型で画素数の多い有機ELディスプレーの量産時期については10月現在、ソニーは未定としています。それでも、セイコーエプソンがこの10月、参入を発表するなど、メーカーは今後増えそうなだけに、技術の進歩には期待が持てます。