データセンターやサーバー室のエネルギー効率を示す指標の1つ。IBMやHewlett-Packard,日立製作所などのベンダーが採用しているほか,米国の環境保護庁(EPA),データセンターの省電力化を推進する業界団体「The Green Grid」なども推奨する指標である。

 PUEは,データセンター全体の消費電力を,サーバーなどのIT機器の消費電力で割った値である(図1)。前者は,サーバーやストレージ,ルーター,管理用端末などのIT機器の消費電力に加えて,空調装置,電力設備,照明装置,監視装置などが消費する電力を含む。

図1●PUEはデータセンターのエネルギー利用効率を示す指標の1つ
図1●PUEはデータセンターのエネルギー利用効率を示す指標の1つ

 最も効率が良いデータセンターは,PUEが1.0になる。その場合,データセンター全体の消費電力と,IT機器による消費電力が等しくなるということである。データセンターに供給される電力をすべてIT機器が消費するため,無駄がない。

 PUEが2.0の場合は,データセンターで消費した電力の半分がIT機器の消費電力になる(図2)。算出したPUEの値が小さければ小さいほど,IT機器以外,つまり空調機や電源装置による電力消費の割合が小さい。それだけ,IT機器を動かすための電力効率が高い。

図2●PUEを指標にすると,データセンターやサーバー室のエネルギー効率がどのレベルにあるかがわかる
図2●PUEを指標にすると,データセンターやサーバー室のエネルギー効率がどのレベルにあるかがわかる

 一般に電力効率が悪いデータセンターは,PUEが3.0以上であるといわれている。一般的なデータセンターで,2.3~2.5程度。効率が良いとされるのは,2.0よりも小さい数値の場合である。

IBMは1.8,日立は1.6以下を目指す

 日本でも,データセンターのエネルギー効率をPUEで示すケースが増えている。日本IBMは,2008年1月に稼働させた千葉市にある「幕張データセンター」のPUEを1.8にすることを明らかにしている。今後サーバーやストレージを増やしても1.8を維持するよう,温度管理を徹底する方針を打ち出している。

 日立製作所が2009年に横浜市に竣工予定のデータセンターは,1.6以下を目指す。直流での給電が可能であるほか,水冷サーバーや水冷ラックにも対応。省電力化技術を取り入れ,電力の消費効率を高めるという。

 PUEのほか,データセンターのエネルギー効率の指標としては,DCiE(Data Center Infrastructure Efficiency)がある。これはPUEの逆数をパーセンテージ表記に直したもの。具体的には,1をPUEの値で割って,100をかける。PUEが3.0であれば,DCiEは33%となる。

 PUE表記では,データセンター中でIT機器が消費している電力の割合がわかりにくい理由から考え出された。DCiEが33%なら,このデータセンターは消費電力全体の33%がIT機器に供給されている,とわかる。