エスクローサービスとは、物品などを売買する際に取引の安全性を保証する仲介サービス。売買の当事者以外の第三者が決済を仲介して、代金を一時的に預かる。インターネットオークションなどで、出品者(売り手)と落札者(買い手)との間の代金支払いや商品受け渡しを仲介するサービスを指すことが多い。

 インターネットオークションやオンラインショッピングが普及するのに伴い、面識のない当事者同士の直接取引への不安から、インターネット上でのエスクローサービスへの関心が高まっている。

 一般にエスクローサービスを提供している事業者は、落札者から代金を一時的に預かり、入金を確認した時点で出品者に商品の発送を依頼する。その後、落札者が商品を受け取ったことを確認した時点で、出品者に支払いを行う。この仕組みにより、代金だけを受け取って商品を発送しないなどの詐欺行為や、商品を送ったのに代金が入金されないなどの詐欺被害を防止する。

 エスクローサービス事業者は、出品者または落札者からサービス手数料を徴収する。このため、オークション取引の際には、あらかじめ売り手側と買い手側がサービスの利用に同意している必要がある。インターネットオークションを運営する企業は、エスクローサービス会社と契約し、別途手数料が必要なオプションサービスとして提供していることが多い。たとえばヤフーの「Yahoo!オークション」では、デジタルチェックの「オークションチェック」と、イオンクレジットサービスの「イオンレジオークション」を利用できる。ディー・エヌ・エーの「ビッダーズ」では、イオンクレジットサービスの「イオンレジオークション」が利用可能だ。

 楽天とNTTドコモが出資する楽天オークションが2006年11月に始めた「楽天オークション」サービスは、三井住友銀行、日本郵政公社と連携。出品者と落札者が互いに個人情報を開示しないでも商品発送・代金決済を可能にする匿名のエスクローサービス「楽天あんしん取引」を標準機能として提供している。また、ヤマト運輸の「宅急便エスクローサービス」は、宅配便と商品配送時の集金機能(代金引き換え)を組み合わせ、出品者だけが事前に利用者登録しておけば利用できる。