写真 ULCPCの代表格である「Eee PC」
写真 ULCPCの代表格である「Eee PC」
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 2007年後半から出荷開始された,おおむね500ドル以下で販売される低価格ノート・パソコンのことです。具体的には,台湾ASUSTeK Computer社の「Eee PC」(写真)や米Intel社の「Classmate PC」,米Everex Systems社の「CloudBook」,米Hewlett-Packard社の「HP 2133 Mini-Note PC」などを指します。

 元々,海外のメディアや個人のブログなどで使われていましたが,大手企業の中では,米Microsoft社が2008年4月3日に発表したニュースの中で使われたのが最初だと思われます(関連記事)。その中で,「ULCPC」を「処理速度の遅いCPUと低解像度のディスプレイを搭載した,低価格の携帯型パソコン」としています。

 Microsoftは2007年12月に,「Low Cost Flash Based Computing Devices」と呼ぶ,2次記憶装置にフラッシュ・メモリー・ベースのSSDを採用したノート・パソコン向けに,Winodws XPをカスタマイズすると発表しました(関連記事)。これは,Eee PCやClassmate PCがSSDを採用していたためです。Microsoftは,2008年6月にWindows XPの提供期間を終え,コンシューマ向けのOSはすべてWindows Vistaにシフトするはずでした。しかし,Linuxを搭載したEee PCの急激なシェア拡大を見て,高い処理能力が求められるVistaではなく,XPをEee PCでLinuxの代わりに使ってもらおうと考え,このような発表したと思われます。そうすれば,正規のXPの提供を予定通りの2008年6月に終了しても,カスタマイズされたWindows XPだけは,別のWindows製品として提供期間を延長できます。

 しかし,Eee PCの後に登場したCloudBookやHP 2133では,2次記憶装置にSSDではなく,ハード・ディスクが搭載されました。このため,Microsoftは,XPの提供を継続する対象を「ハード・ディスクを搭載しないSSD採用のノート・パソコン」と明確に定義できません。4月3日の発表では,提供対象を「ULCPC」と新しく定義したジャンルに限って,提供期間を2010年6月30日,もしくはVistaの次の世代のWindows製品が発売されてから1年後まで延期するとしました。