インスタントウィンとは、その場で当選判定が可能な懸賞。消費者にとっては購入したその場でアタリ・ハズレが分かるので、期待感をあおることになり、購買を促進する効果が高まる。商品購入者に店頭などで配るスクラッチカードが典型。ネットを利用した手法としては、商品に張り付けた2層シールの内側に印字したシリアルID番号をPCや携帯電話の応募サイトから入力してもらうやり方が一般的である。

 懸賞の応募窓口としてPCや携帯電話を使うと、その場で当選判定ができる上、携帯電話の着メロやゲームなど、デジタル化された景品(デジタルプレミアムと呼ぶ)ならその場でダウンロード提供が可能である。特に飲料や菓子類など、外出先で購入することが多い商品は、携帯電話を利用したインスタントウィン方式のキャンペーンと相性がよく、多くの企業が採用している。

 懸賞サイトでは、ゲーム性の高い抽選方法を採用して「もう1回やりたい」と思わせたり、応募回数を計数してインセンティブを設定することもできる。また、個人情報やアンケートをデータとして収集しやすいため、迅速な分析も可能である。応募者のメール・アドレスを取得すれば、以降の継続的なコミュニケーションにもつなげられる。

 携帯電話向けのキャンペーンでは、応募サイトへの誘導手段に注意が必要になる。アクセス操作の敷居を下げるために短いURLを使う方法のほか、空メール、QRコード、とくナンバーなどを利用するキャンペーンが多い。ディーツーコミュニケーションズ(D2C)は、とくナンバーをそのままインスタントウィンの懸賞応募に使えるようにしたサービス「とくシリアル」を提供している。

 インスタントウィンに対応したモバイル向けキャンペーン支援サービスは、ネクスウェイの「MO-ON(ムーン)」をはじめ、ASP(application service provider)方式が主流である。大日本印刷の100%子会社であるDNPデジタルコムは、PCや携帯電話(iモード、EZweb、Yahoo!ケータイ)からの応募に対応したキャンペーン応募受付サービス「Web de Entry」の一メニューとして、インスタントウィン方式をサポートしている。アミューズメント機器メーカーのタイトーは、ゲーム性のある抽選方式を採用したインスタントウィンのASPサービスを提供中だ。ダブルクリックは、ASP方式またはライセンス販売で提供しているモバイル・マーケティング統合ツール「MobileMK」に、インスタントウィン機能を2006年6月に組み込んだ。

 インスタントウィンは、景品表示法の規制対象であるクローズド懸賞の一種である。応募の条件として商品購入や入会金・会費の支払いなどが必要な「取引に附随する」懸賞として規定されており、景品類の上限は原則10万円以内に制限されている。