Edyとは、非接触IC方式のプリペイド(前払い)型電子マネーサービス。運営会社であるビットワレットには、ソニーファイナンスインターナショナル、NTTドコモ、ソニー、全日本空輸など60社以上が出資する。本格サービス開始は2001年11月。当初はプラスチックカードだけだったが、NTTドコモが2004年7月に「おサイフケータイ」の発売と同時にEdyに対応。その後KDDI(au)とソフトバンクモバイルも続いた。名称は、世界中で使われることを目指してユーロ(Euro)、ドル(Dollar)、円(Yen)の頭文字から付けられた。

 利用できる店舗は、コンビニエンスストア、スーパー、ドラッグストア、百貨店、ゲームセンター、カラオケ店、飲食店、ホテル、タクシー、駐車場、自動販売機など。ネット/モバイル通販での対応も広がっている。

 EdyカードやEdyケータイに入金(チャージ)できる上限額は5万円。専用入金機やコンビニのレジから現金で入金できるほか、Edyカードは専用のリーダー/ライターをパソコンにつないで、Edyケータイはパケット通信経由で、インターネットを介してクレジットカードやネットバンキングからも入金も可能である。少額決済を対象にしたプリペイド方式であり、クレジットカードがなくても利用できることから、若年層や高齢者の利用にも向く。

 Edyのマネー価値(バリュー)の発行は、クレジットカード会社や銀行など、前払式証票規制法(プリカ法)に基づいて財務局に登録済みの発行管理事業者(バリューイシュア)が行う。オーエムシーカード、JCB、ディーシーカード、三井住友カード、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、UFJニコスなど15社ある。カード発行事業者はプリカ法の登録事業者になる必要はなく、Edyカード印刷事業者とバリューイシュアを選定し、ビットワレットの審査を通れば、会員証/ポイントカード/クレジットカード/キャッシュカード/社員証/マンション鍵カードなどとして、非接触ICである「FeliCa(フェリカ)」を内蔵したEdyカードを発行できる。おサイフケータイは、携帯電話向けのモバイルFeliCa ICチップを内蔵しており、利用者がEdyアプリを初期設定すると、Edyケータイとして使える仕組みである。

 Edy決済を導入する店舗は、Edy加盟店としてビットワレットに従量制の加盟店手数料を支払う。リアル店舗の場合は、電話回線に接続する店頭決済用の専用端末の月額レンタル料もかかる。一方、オンライン店舗の場合は、Edyネット決済に対応した決済ASP(Apllication Service Provider)などを介して申し込む。決済方法は、Edyケータイ向けの「Mobile Edy」とPC向けの「Cyber Edy」に分かれる。

 Edyには固有の16けたのEdy番号がある。下位のけたをカード発行会社が割り当てられるため、顧客ごとの決済履歴を管理できる。さらに、Edy番号を自社の会員システムやポイントサービスの会員番号と対応付ければ、個人を特定したCRM(customer relationship management)システムも構築できる。ビットワレットは認定ソリューションベンダーと共同で、Edyケータイを会員カードやポイントカードとして使えるようにするシステム構築支援サービス「Edy Point Network」も提供している。加盟店独自の携帯アプリを開発し、加盟店の顧客データベースと連携させる。

 マーケティング分野での付加サービスとしては、アンケートの謝礼、懸賞やポイント交換の景品として、加盟店が顧客のEdyカードやEdyケータイにEdyバリューをチャージできる「Edyギフト」もある。