炎上とは、ある特定のブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の日記などに、批判的なコメントやトラックバックが殺到する現象。「祭り」と呼ばれることもある。本来のコミュニケーションの場としての機能が果たせなくなり、サイトの閉鎖に追い込まれることもある。企業がブログやSNSを活用する事例が増えてきたが、そこでの対応が不適切であったがために炎上してしまうこともあり、周到な準備と誠実な対応が必要になる。

 インターネット上のコミュニケーションにおいては、相手の外見や表情、しぐさ、声の調子といった言葉以外の情報が得られないことから、論争が過熱すると感情的になって歯止めが効きにくくなることが多い。そのため、コメントやトラックバックが殺到して“炎上”し、サイトが閉鎖にまで追い込まれるような事態にもなる。コメントの内容が誹謗(ひぼう)中傷や執拗(しつよう)な個人攻撃などに至るケースも少なくない。

 炎上のきっかけは、ブログ運営者の失言や思い込みの強い意見、過激な発言などであることが多い。匿名で書き込めるインターネット上の掲示板などで、こうした発言が取りざたされ、コメントが雪だるま式に増えるパターンが目立つ。

 新製品のプロモーションなどを目的に、企業がブログやSNSを活用するケースも増えてきたが、そこでの対応のまずさが炎上につながることも多い。なかでも自社の関係者に一般消費者を装わせてコメントさせる「やらせ」は、炎上の典型的な原因の一つとされる。また、批判的な意見や質問などを無視して回答しなかったり、逆に反論したり、コメントを一方的に削除してしまったりすると、さらに騒ぎが大きくなる。こうした不適切な対応は、火に油を注ぐたとえから「燃料投下」と呼ばれる。

 ブログやSNSなどのCGM(コンシューマー・ジェネレーテッド・メディア)を安易にマーケティングに利用しようとすると、炎上などによって、企業やブランドのイメージを損ないかねない。だが逆に、狙いや目的を明確に定め、運営の方針や体制などを周到に準備し、利用者に対して適切かつ誠実に対応すれば、クチコミを生かした有用なマーケティング手段にもなる。

 インターネット上では、相手を激高させたり侮辱したりすることを目的に発信する電子メールのメッセージ、ニュースグループの投稿記事、掲示板の書き込みなどのことを指す「フレーミング(flaming)」という言葉が使われていた。この言葉が転じて炎上となったものとされる。