ヒートマップとは、Webページ上で多数の閲覧者の視線がどのように分布しているかや、Webページ上の各所に配置されたバナー広告やナビゲーションボタンなどのクリック率を、Webページに重ね合わせる格好で頻度や程度を色分けして示した図。Webページのレイアウトデザインやユーザビリティの検証、広告の出稿位置の検討などに用いられる。

 ヒートマップ自体は一般用語であり、もともとは2次元平面で温度の高低を色の違いで表現した温度分布図を意味する。ただしネットマーケティング分野では、Webページ上での閲覧者の視線分布、または広告などのクリック率の分布をカラー表示した図を意味する場合がほとんどである。

 例えばグーグルは、コンテンツ連動型広告「AdSense」を掲載するWebサイトの管理者向けに、典型的なレイアウトのWebページ上での広告掲載位置について、注目されやすさ(パフォーマンス)で色分けしたヒートマップを「AdSenseヘルプ センター」に掲載している。

 Webサイト訪問者がWebページのどこを見るか、またマウスのクリック操作は画面上のどこがしやすいかなどは、ページの設計やコンテンツによっても異なる。ただし一般論としては、訪問者は左上から右下へ視線を動かすため、多くのWebページはこの基本に沿って左上に会社のロゴやメニューを配置している。一般的な横書きのコンテンツのWebページでは、視線の軌跡はアルファベットの「F」や「E」のような形を描く。

 Webページ内の上下関係では、一番上よりもやや下が“ホット・ナビゲーション・エリア”とされ、ナビゲーションボタンやリンクを配置するのが一般的である。最下部は、次の項目へのナビゲーションや、終了や注意事項などのフッター情報を置くことが多い。広告スペースの位置がページの上部中央と下部中央に多いのは、これらが考慮された結果と言える。

 広告は、記事コンテンツのすぐ近くに掲載されるなら、小さなものであっても注目されやすい。また、広告の掲載位置にかかわらず、同一ページに多くの広告が散乱していると、一つひとつの広告の注目度は下がる傾向がある。

 サイト閲覧者の視線を追跡・解析するシステムとしては、スウェーデンのトビ・テクノロジー(Tobii Technology)の「Eye Tracker」などが日本国内でも利用されている。バナー広告やナビゲーションボタンなどのクリック率のヒートマップ解析ツールとしては、英ボックスUK(Box UK)の「clickdensity」のように月額数ドルから利用できるASPサービスもある。