ここ1~2年で「仮説力」をテーマにした単行本が増えておりちょっとしたブームのようです。今、仮説力が重視されるのは、スピード経営にかかわりの深いスキルだからでしょう。

 競争戦略の研究者である早稲田大学ビジネススクールの山田英夫教授は「情報が不十分なうちから、仮説を立てて検証し修正する頭の使い方をしないと、市場や経営環境の変化にいち早く対応する戦略を生み出すことはできない」と解説しています。逆に市場や競合企業について十分な情報が集まるまで何も判断しようとしない姿勢だと、競合相手に後れを取ってしまう可能性が高いのです。

 IT(情報技術)ツールで販売情報や在庫情報といったデータの分析を行う時でも、わずかな情報から仮説を立てることに長けた人のほうが、有意義な傾向を発見できる可能性が高いはずです。

 では、仮説力はどうすれば養えるのでしょうか。『頭がよくなる『仮説力』のススメ』(アスコム、和田秀樹著)や『仮説力』(日本実業出版社、竹内薫著)など複数の書籍が勧めているのが「数学の問題を解くこと」です。数学の問題を解くプロセスでは、いろいろな解法を試して検証するという試行錯誤が欠かせません。仮説を立て、修正していく思考プロセスの練習になるというわけです。