2008年4月1日以降開始する事業年度から義務付けられる「新リース会計基準」では、借り手の会計処理が大幅に変わります。

 今回の基準改訂の対象になるのは、リース契約の中で所有権移転外ファイナンス・リース契約と呼ばれる種類のもの。実態としてはリース会社から資金を借り入れてリース物件を購入するのに等しい取引です。従来は、損益計算書にリース料を費用として計上するだけで済み、資産や負債を貸借対照表に記載する必要はありませんでした。

 しかし今回、国際会計基準に準拠するために貸借対照表にリース資産とリース債務を計上する決まりとなりました。この結果、自己資本比率やROA(総資産利益率)の数字は悪化します。

 また、損益計算書にも影響が及び、法定耐用年数に基づいた減価償却費や支払い利息相当額を計上しなければならなくなります。

 このように会計処理が煩雑になるため、IT(情報技術)業界の一部には、資産を持たずにシステムの使用権のみを購入するSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)へユーザーの関心が高まるとの期待感が出ています。しかし、契約当たりのリース金額が300万円以下の契約については従来通りの会計処理が認められることなどから、その影響度は未知数です。