図 USB 3.0のプラグと挿し込み口の形状(Intel Developer Forum Fall 2007で明らかにされたもの)
図 USB 3.0のプラグと挿し込み口の形状(Intel Developer Forum Fall 2007で明らかにされたもの)
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 USB 3.0とは,パソコンの周辺機器を接続するためのインタフェースとして広く使われているUSBの次世代規格である。USB 3.0は「SuperSpeed USB」とも呼ばれ,その名の通り現在のUSB 2.0の通信速度(480Mビット/秒)の10倍以上となる5Gビット/秒以上という高速でデータをやりとりできるようになる。

 USB 3.0の規格を制定するUSB 3.0 Promoter Groupが明らかにしたケーブルとコネクタの形状を見てみよう。今までのUSB 2.0では,1組のUTP(非シールドより対線)を利用して,データを送受信していた。USB 3.0では,ケーブル内に2組のSTP(シールド付きより対線)を追加する。一方のSTPを送信専用に使い,もう一方を受信専用に使う。このように送受信を分離することで伝送を効率化する。

 データのやりとりを効率化するため,伝送プロトコルにも変更が加えられる。USB 2.0では,パソコンなどのホストが常に主導権をもち,接続された周辺機器に一定間隔で通信要求を確認する「ポーリング」と呼ばれる方法を採っていた。USB 3.0ではポーリングを廃止し,パソコンと周辺機器が対等な関係になった。データを転送したい場合は,周辺機器側からパソコン側に要求を出して通信を開始することもできる。ポーリングによる無駄な通信を減らすことで,伝送速度を高めるほか,消費電力の削減も狙っている。

 USB 3.0では,既存のUSBとの互換性を確保する。ケーブルには,USB 3.0用の2組のSTPに加えて,USB 2.0のUTPも一緒に組み込む。挿し込み口でも,USB 2.0に搭載されていた四つの端子の奥に,USB 3.0で使う五つの端子を用意する(図)。追加された端子のうち,一つが接地線で,残りを送信用と受信用にそれぞれ二つずつ使う。このような形状にすることで,例えばUSB 3.0の挿し込み口にUSB 2.0のプラグを挿し込んでも,USB 2.0としての通信ができることになる。USB 3.0のプラグをUSB 2.0に挿し込んでもUSB 2.0として通信できる。

 USB 3.0は現在,米インテル,米テキサス・インスツルメンツ,米ヒューレット・パッカード,米マイクロソフト,NEC,オランダのNXPセミコンダクターズの6社から成るUSB 3.0 Promoter Groupによって規格策定が進められている。なお,USB 3.0 Promoter Groupに参加するインテルによれば,USB 3.0では銅線だけでなく光ケーブルによる伝送へも対応する見通しである。今後,各企業の意見を集約した後,2008年上半期に正式な仕様を公開する予定だ。対応製品が世に出回るのは,2009年になる見通しである。