図1 標準のHTMLだけではアプリケーションとして実現できる機能に限界がある
図1 標準のHTMLだけではアプリケーションとして実現できる機能に限界がある
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図2 新技術の“呪文”で見た目も使い勝手も“リッチ”に変身(イラスト:なかがわ みさこ)
図2 新技術の“呪文”で見た目も使い勝手も“リッチ”に変身(イラスト:なかがわ みさこ)
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 RIAとは,高度な表現力と機能性,操作性を持ったWebアプリケーション全般を指す言葉である。RIAという言葉は,2002年頃にマクロメディア(現アドビ システムズ)が,Webブラウザ上で動作するFlashを使った直感的な操作が可能なWebアプリケーションを指して使ったのがきっかけで誕生したと言われている。アドビ システムズの「Adobe AIR」や,マイクロソフトの「Silverlight」など,大手のソフトウエア関連企業がFlashに似たWebアプリケーション開発技術を相次いで提供してきており,RIAという言葉を耳にする機会も増えている。

 FlashやAdobe AIR,Silverlightなどを使ったRIAでは,Webブラウザ上で動画,音楽,アニメーションなどを取り入れた華やかなコンテンツを動かせる。デザイン面だけでなく,画面遷移をスムーズにしたり,ユーザー・インタフェースを改善してブラウザ内でドラッグ・アンド・ドロップなどの操作を実現できる。こうした機能は,エンターテインメント向けのWebサイトの表現を豊かにするだけではなく,例えば企業の業務アプリケーションに導入すればユーザーはより直感的な操作ができるようになって作業効率のアップなどが見込める。

 どんなに充実したデータベースを用意していても,HTMLのみで構成された,インタフェースがお粗末なWebアプリケーションでは,うまくユーザーに使ってもらない。例えれば,童話のシンデレラは良い娘だったが,身なりがみすぼらしいためお城の舞踏会に行けなかったのと同じである(図1)。これに対し,RIAはシンデレラを着飾らせた魔法使いの呪文のように,Flashや,JavaScriptとXMLを使ったAjaxと呼ばれる技術,Javaアプレット,. NET Framework,Curlといったさまざまな技術を使って,ユーザー・インタフェースのデザインと機能を向上させていこうという考え方である(図2)。

 今ではブラウザ以外で動作するタイプも含めて,豊かな表現と使いやすいインタフェースを備えるアプリケーションをひとまとめにRIAと呼ぶようになっている。さらに最近では,「オフライン状態でも動作する」,「インターネットを通じて,他のWebサービスの提供する機能やデータベースを活用できる」,「サーバーの負荷を軽減できる」といった内容が挙げられることも多くなっている。

 RIAは実現手法によって三つのタイプに分かれる。まずは,JavaScriptを使ったWebサイトのようにWebブラウザの標準機能で動作するタイプである。もう一つは,Webブラウザにプラグインを追加するタイプで,FlashやSilverlight,オフラインで動作するWebアプリケーションを開発するための技術「Google Gears」などを使ったWebサイトがこのタイプになる。最後は,Webブラウザを使わずに単体で動作するタイプのRIAである。例えば,Adobe AIRを使ったWebアプリケーションは,パソコンに専用モジュール(ランタイム)をインストールして,その上で動作する。