米リンデンラボが運営するインターネット上の仮想世界。アバターを使って会話したり、仮想の通貨で買い物したりできる。新たなマーケティングツールとして着目されている。

 皆さんは、「セカンドライフ」つまり「第2の人生」と聞くと何を思い浮かべますか。米リンデンラボが2003年から公開・運営しているインターネットの仮想世界「セカンドライフ」では、まさに現実の世界とは異なるもう1つの人生を疑似的に体験することができます。

 3次元グラフィックスで描かれたこの仮想世界では、「リンデンドル」と呼ぶ仮想の通貨が流通しており、参加者は「アバター」という自分の分身を使って仮想世界を散策できます。例えば、図書館やスポーツ競技場などの施設を訪ねたり、買い物をしたり、仕事をしたり、ゲームをしたりできます。

 また、土地を所有して、自ら建物を作り、それを貸したり売ったりすることも可能です。3次元グラフィックスの建物や商品、ゲーム、アバターなどを作る様々なツールやスクリプト言語が用意されています。このように参加者が自由に街を創造できる点が、大きな特徴の1つです。

 この3月末時点で500万人を超す住人がおり、英語を共通言語としてチャットで会話ができます。早ければ2007年4月に日本語版も登場する見通しです。

◆効果 マーケティングに使える

 セカンドライフの住人は急増しています。その結果、多くの欧米企業がセカンドライフを新しいマーケティングツールと認識するようになってきました。

 まず、単純に新製品の宣伝メディアとして利用できます。さらに、多数の顧客の声を拾い上げて、発売前の製品のデザインや機能を改善することもできるでしょう。あるいは、現実世界の店舗と連動させて、物品を販売することもできます。3次元グラフィックスで描かれた店舗の中に商品を陳列し、そこで購入したら現実の世界の自宅に商品を配送するわけです。この仕組みは、米国の家電量販店大手のサーキットシティーが2007年中に試行する予定です。

◆事例 新卒採用にも活用

 今年2月、仏クリスチャンディオールは新作の宝飾品をセカンドライフ上で公表しました。日産自動車の米国法人は、巨大な自動販売機を設置して自動車を販売し、疑似的に試乗できるようにしています。これらなどは仮想世界ならではの取り組みといえます。

 日本語版の登場を間近に控えて、日本企業の活用も目立ってきました。この3月だけの期間限定でしたが、ミクシィが新卒学生向けに企業情報を提供する仮想オフィスをセカンドライフ上に設置。採用に関する情報を公開したり、スタッフとチャットできるようにしました。ブックオフコーポレーションも、今年2月から仮想店舗を建て、スタッフ募集などの広告の配信を開始しています。