営業の進ちょく状況をオンラインで報告してもらい、情報共有や分析を進めるための仕組み。営業担当者への適切なアドバイスや弱点の分析などに活用する。

 営業担当者の人事評価は、受注・失注あるいは一定期間の成約数といった成果のみで行われがちです。しかし、実際には一口に失注といっても最初から見込みの薄い顧客を攻め込んでしまったケース、商談中のフォローが手薄だっためにライバル企業に商談を奪われたケース、提案価格への不満を解消できなかったなど様々な要因があり得ます。

 営業マネジャーにはこうしたプロセスに気を配って部下を指導できるスキルが求められています。

 そこで営業担当者から営業の進ちょく状況をオンラインで報告してもらい、その情報を共有したり分析できるようにする仕組みが「SFA」です。一般に「営業支援システム」と訳されています。

◆効果 仮説・検証に活用

 SFAでは、まず営業担当者がパソコンや携帯情報端末(PDA)、携帯電話などを通じて、「1回目の訪問をした」といった商談の進ちょくを入力します。

 マネジャーはそれを見て、画面上でコメントを返します。例えば、「競合A社の商品の弱点は技術部門のB君に聞いておけ」といったコメントです。

 こうしたやり取りだけでは、SFAはただの「営業日報のオンライン化」と変わりないかもしれません。しかし運用を進めるにつれて、システムには商談の履歴情報が蓄積されます。そして成約・失注商談のキーワード検索や、進ちょくの分析ができます。これらの機能を生かして、マネジャーは望ましい営業活動とはどんなものかという仮説を立て、営業担当者への指導に生かすのです。

 例えば、上位の営業担当者は競合商品との価格対性能比の比較表を作って提出する習慣がある、あるいは、下位の営業担当者には小規模な顧客ばかり回ってシビアな大手顧客への訪問が不足しているといった傾向があるかもしれません。

 マネジャーがこうした仮説を立てずに「もっと頑張れ」などといった抽象的な返事を返すばかりだと、営業現場は「わざわざ進ちょく状況を入力しても無意味だ」とシステムを疎んじるようになるので、注意が必要です。

◆事例 重要客攻略を徹底

 富士ゼロックスの販売子会社である富士ゼロックス神奈川(横浜市)は、2002年ごろから「重要顧客を取りこぼさない」ことを主眼にSFAを活用しています。同社のマネジャーは毎朝、前日に現場はどんな顧客を訪問したのかまずチェック。さらに「競合がきました」といった報告があると同行を相談したり、直筆の手紙を書くよう指導するなど、すぐにアドバイスを行います。こうした活用が軌道に乗って、2006年度上期に営業1人当たりの複写機販売台数が富士ゼロックスグループで全国1位になるといった成果を上げています。