LinuxやMac OS X,WindowsなどのOSは,事務机上の操作・状態を画面に置き換えることでユーザー・インタフェース(GUI)を表現している。
GUIの4大要素は,ウインドウ,メニュー,アイコン,マウス・ポインタだ。最も単純な場合,すべての要素が1つのディスプレイ画面,すなわちデスクトップ内に収まっている。Windowsはこのタイプだ。
一方,X Window Systemでは,ウインドウを複数のデスクトップに配置できる。各デスクトップを「仮想デスクトップ」と呼ぶ(写真1)。ディスプレイ画面には,そのうち一つのデスクトップが表示される。通常,すべての仮想デスクトップに同一メニューとアイコンを表示する。
一方,アプリケーション・ソフトウエアなどが開くウインドウは,どの仮想デスクトップ上に表示するかをユーザーが指定できる。
このような仕組みを採ったため,ディスプレイ装置が1台しかない場合でも,例えば,特定のアプリケーション・ソフトウエアを用いる作業ウインドウは仮想デスクトップ1を使い,別の一連のファイル処理用のウインドウは仮想デスクトップ2を用いる,というように作業内容ごとにデスクトップを分けることができる。これも現実世界の一種の比喩となっている。
GNOMEやKDEなどは標準設定では4つの仮想デスクトップが利用できる。「4」という数に意味はなく,多くのLinuxディストリビューションでは簡単な操作で仮想デスクトップの数を変更できる。
2005年から開発が始まったXgl(X over OpenGL)は,デスクトップを3次元グラフィックス用のAPIであるOpenGLを用いて描画する。このため,4つのデスクトップを立方体の4つの側面に張り付け,回転させることで切り替えるといったGUIの表現が可能になっている(写真2)。