図1 これまでの機器がもっていた通信機能が使うネットワークはバラバラだった
図1 これまでの機器がもっていた通信機能が使うネットワークはバラバラだった
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図2 M2Mはすべての機械を一つのIPネットワークに収容するもの(イラスト:なかがわ みさこ)
図2 M2Mはすべての機械を一つのIPネットワークに収容するもの(イラスト:なかがわ みさこ)
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 M2Mとは,機械と機械がIPネットワークを介して相互に通信し合う通信形態を指す言葉である。ここで言う「機械」とはパソコンやサーバーといったコンピュータだけでなく,工場の工作機械,自動販売機,監視カメラ,ビルの空調管理システム,POSレジなど広い分野の機器を指している。

 こうした機器が通信機能を備えることは,特に目新しいことではない。コンビニのPOSレジが売り上げデータを本部に送っているし,街頭にもPHSや携帯電話モジュールを内蔵した自動販売機がある。

 だが,こうした機器が持つ通信機能は,これまで主に機械と機械の間を1対1で結ぶ回線を利用していた。例えば,同じコンビニ店内でもPOSレジと電子マネー読み取り装置は別々の回線につながっている。つながる先も,コンビニ本部や電子マネーの運営会社と別々である(図1)。利用回線はISDNなどが主流のため,帯域が細く,通信料金も割高である。

 M2Mでは,これらをIPネットワークに集約する。すると,まず通信コストが削減できる。いったんIPネットワークを導入してしまえば,新たな機器を接続しても,通信コストの追加負担はほとんどない。そのため,これまでは通信コスト的に割に合わないとあきらめていた遠隔監視なども導入できる(図2)。

 ネットワークの帯域が広がることで,ビルの温度監視や空調制御がきめ細かくできるようになり省エネにつながる。RFID(無線ICタグ)と組み合わせ,食品などのトレーサビリティ(履歴追跡)の実現などにも利用できると期待されている。

 M2Mの用途は,産業分野だけにとどまらない。ホーム・ネットワークに活用すれば,携帯電話で自宅の施錠を確認したり,監視カメラの画像を確認したりできる。また,自宅にあるハードディスク・レコーダー内の映像を外出先のテレビから楽しむといったことも可能となる。