ウェブサイト上で、日記を書いたり、音楽といった共通の趣味の仲間の輪を広げられるサービス。国内最大手であるミクシィには660万人以上が参加している。

 インターネット上で人脈作りを支援するサービスが、ここ数年で急速に発展しています。それが「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)」です。限られた友人同士のクローズドなコミュニケーションの場や、趣味など共通の話題を持つ人たちが知り合う場を提供するものです。

 日本で代表的なSNSは、約660万人(2006年11月現在)が登録しているミクシィやグリーなどです。世界最大のSNS、マイスペースは海外で1億2千万人以上の登録者を擁するとされており、日本語版の試験稼働も始まっています。ほかにも自治体や企業が運営するものなど大小さまざまなSNSがあります。

◆効果 ネット人脈を作る場

 SNSの人気が高まっている理由の1つに、会員からの紹介でしか登録できない招待制を採用しているサイトが多いことが挙げられます。従来のネット上の電子掲示板では、匿名によって特定の参加者の感情を逆なでするような書き込みがされるなど利用者の安心感が今ひとつでした。

 その点SNSは、参加者の匿名性を低くすることで、情報の信頼性や利用の安心感を増したことが従来の電子掲示板との違いです。

 会員登録すると、SNSのサイト内に専用のページが割り振られます。自己紹介や日記のほか、購入した商品の感想を書くといった情報発信ができます。そしてSNSの利用者は、友人や知人などとお互いにリンクを張ることで人脈を形成していきます。

 さらに、SNSのもう1つの機能として、コミュニティーがあります。知り合いではありませんが、「ラーメン好き集合」といった趣味など興味のある分野、居住地域といった属性など共通の話題を持つ人が掲示板で情報交換します。参加者自身がコミュニティーを立ち上げられるため、ミクシィでは約123万(2006年12月末現在)のコミュニティーが立ち上がっています。

◆事例 旅の需要を探る

 大手のSNSサイトは、利用者には無料で場を提供しつつ、企業から広告収入を得るビジネスモデルが主流です。一方で特定分野のテーマ性を打ち出してマーケティングプロモーションの一環として運営されているSNSもあります。

 その1つが全日空が2004年5月に開設した「ANAフレンドパーク」です。このSNSのテーマは「旅」です。10のコミュニティーがあり、同社が力を入れている中国旅行などに関連したテーマを設定し、約14万人(2006年12月現在)が参加しています。掲示板内のやり取りを盛り上げることで、旅行需要の掘り起こしや新企画の参考材料となることを目指しています。ANAでは、各コミュニティーにあったツアーを企画・提案するなどSNSを販売促進に役立てています。