図 GENIの概要
図 GENIの概要
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 「GENI」(Global Environment for Network Innovations)は米NSF(National Science Foundation)が計画中の“インターネットの次”を目指した実験ネットワーク(図)である。GENIの目的は,IPすら使わない,まったく新しいネットワーク・アーキテクチャや要素技術を開発することだ。

 GENIの計画が生まれてきた背景には,「いつまでもインターネットに頼っていては新しいものを生み出せない」という研究者の強い思いがある。インターネットの原型となるARPANETが登場してからすでに30年以上が経つ。生活インフラとして定着したインターネットでは,新たな技術を試すことが難しくなってきた。そこで,なんでもできる巨大なテストベッドとしてGENIが作られることになった。

 実際にNSFは,巨費を投じて全米規模のGENIバックボーンを構築する計画を明らかにしている。予算の要求段階では,その額は5年間で3億6700万ドル,日本円にして約400億円に相当する。

 ただし“何でもできる”ということは,具体的なことはすべてこれからということになる。GENIの計画はかなり長期にわたるもので,稼働は2009年から2010年にかけてと見られている。現在は米プリンストン大学のラリー・ピーターソン教授が中心となって設計を行っている段階だ。

 GENIのうえで開発する新しいネットワーク・アーキテクチャや要素技術の実用化は,2015年から2020年になると想定している。こちらの研究開発は「FIND」(Future Internet Design)というNSFの別プロジェクトが担当する。

 日本でもGENIと同様な新世代ネットワークの構築を目指したプロジェクトが動き出している。NICTの「AKARI」だ。このプロジェクトも2015年を目指した長期的なものである。欧州でも,FP7(7th Framework Programme)と呼ぶ研究開発プロジェクトの中で新世代ネットワークをテーマの一つに据えている。新世代ネットワークの構築は世界的な潮流と言える。