JR東日本が展開している電子マネー。あらかじめICカードの中に入金(チャージ)しておけば、鉄道の自動改札機を通ったり店舗で買い物ができる。

 電子マネーにはいくつかの種類がありますが、中でもJR東日本が展開している「スイカ(Suica)」の勢いが止まりません。Suicaで買い物できる店舗は既に約3000店まで増えました。

 JR東日本がSuicaを使って、駅構内や周辺の店舗で買い物ができる電子マネーサービスを開始したのが2004年3月。現在までに電子マネーに対応したSuicaカードの発行枚数は約948万枚に達しています。1日の利用件数は約19万件まで伸びました。

 Suicaはもともと、JR東日本の鉄道の自動改札機をスムーズに出入りするために開発された電車専用の電子マネーでした。改札口にある専用の券売機でSuicaカードに入金し、電車に乗るときは自動改札機に切符を通す代わりに、Suicaカードをかざして通り抜けます。Suicaカードから切符代に相当する電子マネーが一瞬にして引き落とされます。乗客は電車に乗るたびに券売機で切符を買う煩わしさから解放され、Suicaカードで自動改札機をタッチするだけで素早く通れるようになりました。

◆効果
コンビニでもタッチ&ゴー

 Suicaは現在、首都圏や近畿圏、仙台のJR駅で使えます。このエリアに住む人たちの財布の中にSuicaカードが入っている確率は相当高いはずです。そこに目をつけたのが駅周辺に出店する小売店。Suicaを切符の支払いだけでなく、飲食物や電気製品などの買い物にも使ってもらおうと考えたのです。

 例えばファミリーマートは2月までに、1000店規模でSuicaを使えるようにします。ローソンも2005年11月から10店で実験を始めました。コンビニエンスストア業界の大手2社が、ともにSuica対応を表明したことで一気に利用店舗が増える可能性が出てきたのです。両社はPOS(販売時点情報管理)レジにSuicaカードを読み取れる専用の決済装置を取り付け、買い物客はそこにSuicaカードをかざして支払いを済ませます。

◆事例
イオンも参加

 2006年もSuicaの拡大から目が離せません。1月28日からSuicaカードの代わりに携帯電話を使った電子マネーサービス「モバイルSuica」がスタートします。最大の特徴は携帯電話の無線機能を使って入金ができること。自動改札機や小売店の決済装置に携帯電話をかざして支払いをする使い方は同じです。

 2007年1月にはイオングループのスーパーなどでもSuicaが使えるようになります。同3月以降にはSuicaで首都圏の他の鉄道やバスも乗れるようになります。コンビニやスーパー、主要な交通機関といった生活に密着したサービスが次々と対応を表明したことで、Suicaの存在感は一層強まると予想されます。