「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(点検)」「Action(改良)」を繰り返し、継続的に改善する手法。エドワード・デミング博士の品質管理の考え方を元にしている。

 継続的に業務を改善する経営管理手法が「PDCAサイクル」です。改善活動のプロセスを「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(点検)」「Action(改良)」の4つに分類。このサイクルを回すことで、継続的に事業活動を改善するというものです。

 PDCAサイクルは、品質管理の権威だったエドワード・デミング博士(故人)が提唱した「デミングサイクル」を元にした理論。デミングサイクルは商品の品質を一定水準以上に維持するための手法でしたが、PDCAサイクルは幅広い事業活動を対象にしています。

◆効果
改善を継続的に実施

 Plan、Do、Check、Actionの取り組み自体は珍しいものではなく、企業の事業活動のなかで頻繁に実施されています。重要なのは、CheckやActionの成果を次のPlanに反映する点です。PDCAを事業計画ごとに独立した取り組みとして実施すると、過去の改善活動の成果が生かされない恐れがあります。PDCAサイクルを導入すれば、成果を事業活動に定着できる可能性が高くなります。

 例えば、A社の工場で大量に欠品が発生したとしましょう。PDCAサイクルを回している場合、月次の生産計画が終了した段階で、欠品発生の原因を追求するCheckを実施。「小売店の特売による需要増を考慮に入れなかった」といった問題を突き止めることが可能になります。

 次に、「営業担当者が小売店から収集した特売情報を生産計画に反映させる」などの対策をActionで導き出します。これを次の生産計画を立てるPlanに生かすことで、同種の問題が発生するのを予防できます。このように、PDCAサイクルによって改善活動を繰り返すことで、問題を1つずつつぶして業務効率化を促進できます。

◆事例
販売の収益向上

 自社に閉じた業務にとどまらず、PDCAサイクルを他社にも拡大し、サプライチェーン全体の効率化を図る企業もあります。

 例えば、トヨタ自動車は、販売会社を対象にPDCAサイクルを定着させるための営業改革活動「店舗ベーシックトライアル」を実施しています。

 活動の成果は着実に上がっています。ネッツトヨタ中部(本社名古屋市)の店舗では、販促企画が失敗した際、店舗スタッフが自発的にその原因を検証。「自分自身で顧客を店舗に誘導しなかった点が失敗につながった」との反省を基に、第2弾の企画では店舗スタッフが積極的に顧客を勧誘しました。この結果、通常は1シーズンに数十本しか売れないタイヤを、週末2日間で181本売るといった成果を上げました。

長谷川 博 hhasegaw@nikkeibp.co.jp