商品の売り手となる企業と買い手となる企業を結びつけて、調達業務や販売業務を電子的に進めるインターネット上の取引所のこと。「eマーケットプレイス」や「インターネット取引所」とも呼ぶ。

 1998年ごろから米国で爆発的に広がり、日本でも2年後の2000年ごろから、日用品や食品、精密機器、自動車などさまざまな分野で登場した。撤退するマーケットプレイスも出ているが、取引額は全体として堅調に伸びており、商品の調達手段の一つとして定着しつつある。

 マーケットプレイスで売り手と買い手を結びつける主要な方法は、大きく2通りある。一つは売り手の商品に対して、複数の買い手が購入希望価格を提示する「オークション型」。最高値を提示した買い手が商品を落札する。もう一つは、買い手が欲しい商品に対して、複数の売り手が販売価格を提示し、最安値を提示した売り手が落札する「逆オークション型」。売り手は商品の販売先を拡大し、買い手は安く商品を購入するというメリットが期待できる。

 オークション型、逆オークション型のいずれの場合も、商品の品質や売り手となる企業の信用度を、買い手が事前に判断しなければならない。ただし商品の種類によっては、それが困難なケースもある。

 電子商取引の推進を目指す電子商取引推進協議会によれば、1999年度に国内で登場したマーケットプレイスは5カ所足らずだったが、2000年度には一気に約100カ所に増えた。その後は新たに登場するマーケットプレイスがある一方で撤退するところも多く、総数は安定していない。

 マーケットプレイスにおける商品の取引額は伸びている。経済産業省や電子商取引推進協議会が実施している「電子商取引に関する実態・市場規模調査」によれば、2001年度に3兆9800億円だった年間取引額は、2002年度には4兆7170億円(前年度比約19%増)、2003年度には7兆8890億(同67%増)に達した。

 マーケットプレイスには、買い手として特定の業界に属する企業を想定したものと、複数の業界を対象にしたものがある。前者は、買い手の業界が主導して立ち上げるのが一般的。後者は、買い手と売り手のどちらの業界にも属さない第三者の企業が立ち上げることが多い。

 業界に特化したマーケットプレイスの例が「JNX」と「百貨店eマーケットプレイス」だ。JNXは業界団体の日本自動車研究所が2000年10月にサービスを始めた。今年6月時点で自動車や部品のメーカー800社以上が参加している。百貨店eマーケットプレイスは、業界最大手の高島屋と第2位の三越が中心になって、2002年6月に立ち上げた。それぞれ自動車の部品や、百貨店で販売する商品の調達に利用されている。

 複数の業界を対象にした例に、NTTコミュニケーションズの「.com Co-Buy」がある。消耗品やオフィスの備品など、業界を問わず幅広い企業が社内で使う商品を扱う。

(栗原)