アウトソーシングの契約形態の一種。契約を上回るコスト削減の効果や利益が生じた場合、ユーザー企業と受託企業が利益を折半する。

 英語の接頭語である「co-」には「共同の」や「相互の」といった意味があります。例えばcofounder(共同設立者)やcoeducation(男女共学)などです。アウトソーシングの一形態である「コ・ソーシング」も、ユーザー企業と受託企業が「共同で」利益を享受する取り組みです。具体的には、両者が対等の立場で業務を推進し、当初の設定値を上回る利益は分け合うという契約形態です。

 従来の契約では、ユーザー企業は作業をアウトソーシング事業者に全面委託する代わりに、作業にかかった費用が契約時点の設定値を下回っても還元を受けられないことが多かったようです。

◆効果
技術を流出させない

 コ・ソーシングの効果は大きく2つあります。第1の効果は、ユーザー企業の当事者意識を下げないことです。アウトソーシングが「丸投げ」になってしまえば、コスト削減にもサービスの向上にもつながりません。成果が還元されるコ・ソーシングでは、アウトソーシング後も該当業務に対する意識を高く保つことができます。

 第2の効果はスキルやノウハウの空洞化を避けることです。ユーザー企業も作業に参加することでスキルやノウハウの低下を止めて、社内に蓄積することができますし、アウトソーシング先との共同作業を通じて、より高度なスキルやノウハウを得ることも可能となります。

 コ・ソーシングは米EDS社が、1990年代前半に打ち出した概念です。国内では2000年以降、契約に盛り込む企業や自治体が増えつつあります。

◆事例
製造業から自治体まで

 ホンダは2000年夏から情報システム分野で日本IBMとコ・ソーシング方式の契約を結んでいます。ホンダがコ・ソーシングを選択した理由は、コスト削減より「技術は手の内に置く」ためのようです。アウトソーシング後もIT(情報技術)部門の社員数は削減しない意向です。

 2001年3月に岐阜県が基幹系情報システムの再構築と運用の7年契約をNTTコミュニケーションズと結んだ際、契約にはコ・ソーシングの概念が入っていました。契約の落札額は115億円という大規模なものでしたが、運用コストを契約より削減できた場合、生じる利益は両者で折半するというものです。

 今年2月にジャスダックに上場したワールドインテックは、製造業に対する生産や研究開発のアウトソーシングを手がけています。同社もコ・ソーシング方式のアウトソーシング契約をユーザー企業と結んでいます。将来的にその割合を増やしていきたいと考えています。