米モトローラが開発し、米ゼネラル・エレクトリックが磨きをかけたことで有名な経営改革手法「シックスシグマ」と、トヨタ自動車の「リーン生産方式」を組み合わせた手法。

 米国では多くの企業が「シックスシグマ」という手法を使って社内の様々な部門で業務改善活動を続けています。しかし、シックスシグマには1つ大きな課題があります。まず改善すべき業務プロセスを分析し、関連データを社内外から大量に収集。データを科学的に分析して解決策を導き出す。こうした手順を踏むため、改善まで時間がかかるのです。

 この課題をある程度まで解消するため、主に製造業の企業が採用し始めた手法が「リーンシグマ」です。これは、シックスシグマと「リーン生産方式」という世界的に著名な2つの経営手法を組み合わせたもの。リーン生産方式は、マサチューセッツ工科大学の教授がトヨタ自動車の生産方式を1980年代に研究し体系化してできた手法です。

 シックスシグマは、米ゼネラル・エレクトリック(GE)が90年代後半から導入。生産や営業など多様な部門に適用して大きな業績効果を出したので、注目を集めました。

◆効果
生産部門を短長期的に改善

 現時点でリーンシグマと呼ばれる手法は、「1つの業務改善プロジェクトにおいて、すぐに直したい部分にリーン生産方式を、じっくりと腰を据えて各種データを収集・分析してから改善したい部分にシックスシグマを適用する」といったものです。

 リーン生産方式はもともと、生産業務の改善活動を促す手法です。根底にある「ムダな作業や動きを省く」という考え方は、営業やスタッフ部門の業務改善にも適用できますが、実際は生産部門の改善に適用する企業が大半です。このため、リーンシグマも今のところは生産部門での採用が一般的です。

◆事例
GEも採用をアピール

 米国企業ではGEですら、今はリーンシグマを採用していることを強く外部にアピールしています。2004年度の年次報告書のなかで、「新たにリーン・シックス・シグマと名づけた手法を導入…(中略)…この2年間でトランスポーテーション部門は在庫回転率を7回から9回に改善し、アドバンス・マテリアルズ部門も売掛金の回転率が6回に向上」と述べているくらいです。

 日本では製造業の多くがリーン生産方式を採用しており、リーンシグマを導入しやすい土壌はあると言えます。そこで、コンサルティング会社のジェネックスパートナーズ(東京・港)は今年から、「JITシグマ」と呼ぶ新手法を使ったコンサルティングサービスを開始。これは、シックスシグマで使う業務改善ステップ「DMAIC(定義・測定・分析・改善・管理)」のなかに、リーンのムダ取りの思想やツールを融合させた手法です。