企業内に散在する情報を一覧するための仕組み。複数のアプリケーション(応用)ソフトから情報を収集し、1つの画面上に表示する。情報の周知徹底が図れる。

 顧客情報、販売実績、会計情報—。情報化が進むにつれて、社内には様々なデータが増える一方です。営業担当者が商談で必要な情報を取り出すにも、販売管理や在庫管理、商品管理など複数のシステムを参照しなければならなくなりました。

 担当者によっては、必要な情報を見落としてしまう危険性があります。こうした課題を解決するには、利用者が求める情報をきちんと伝えたり、容易に探せる仕組みが必要になります。企業内に存在するデータを横断的に集約して、単一の画面に表示する仕組みが「社内ポータル」です。「企業情報ポータル(EIP)」とも呼ばれています。

 ヤフーなどのポータル(玄関)サイトで、インターネット上から欲しい情報を探すように、社内の情報を探しやすくなります。社員の所属部署や役職によって、表示する情報を自動的に変えるシステムも提供されています。

◆効果
個別に必要な情報を表示

 一般に社内ポータルは、ウェブ・ブラウザーの1つの画像上に異なる情報を集約して表示します。掲示板のタイトル一覧や自社の業務に関連するニュースといった各種の情報を1つの画面で見られます。

 ただし、必要な情報は役職や職種によって異なります。社内ポータルは個別に画面を変えることも可能で、ログインするとそれぞれにとって必要な情報がすぐに表示される機能があります。業務上知っておくべき情報を見落としにくくなる効果が期待できます。

 例えば、営業担当者には在庫や競合他社の動向などを表示します。経営層には事業部ごとの収益や予算対比など意思決定の判断材料を1つの画面で提供できるようになるといった具合です。

 自社のデータだけでなく、外部の情報を社内ポータルに取り込むことも可能です。ヤフーなどの情報提供会社が、あらかじめ登録されたカテゴリーのニュースを社内ポータル向けに提供しています。

◆事例
経営指標を集約

 電源装置メーカーのデンセイ・ラムダは2004年11月に、意思決定に必要な判断材料を提供する社内ポータル「ダッシュボード」を導入しました。売上高や粗利益などの管理指標の現況をメーターで表示。ひと目で、今どのような状況なのかが分かるようになりました。気になる管理指標があれば、そこをクリックすると個別のデータまで掘り下げて原因を究明できます。

 加えて、月の半ばには月末の予想を表示する機能も備えています。経営陣や管理職は、月中にどの製品や拠点で対策を打つ必要があるのかが分かるので、素早い意思決定が下せるようになりました。