顧客や消費者の許可(パーミッション)をとったうえで、販売促進活動を行うこと。相手に迷惑がられないし、販促の効果を上げられる利点がある。

 電子メールでも郵便でも、毎日のように送られてくる販促用のダイレクトメール(DM)。中身を見ずにゴミ箱にポイ、という経験がある人は少なくないでしょう。販促DMの送付者にとっては、その効果がないばかりか、迷惑DMを一方的に送りつけてくる事業者という悪いレッテルを張られかねません。「パーミッション・マーケティング」とは、相手の許可(パーミッション)を得た範囲内で、情報提供や勧誘といったマーケティング活動をすること、またはその手法のことをいいます。

 1999年に米ヤフーの副社長だったセス・ゴーディン氏が同名の著書で唱え、日本でも知られるようになりました。そして今、再び注目されています。きっかけは、今年4月に全面施行された個人情報保護法です。名前や住所、電子メールアドレスといった自分の個人情報の取り扱われ方に、神経をとがらせる消費者が増えてきました。こうした社会環境の変化からも、許可を得ることの重要性が増しています。

◆効果
ゴミ箱行きを防ぎ、購買確率アップ

 パーミッション・マーケティングの代表的なものは「オプトインメール」です。顧客に趣味や関心事などをあらかじめ登録してもらい、さらにその関連情報を送ることについての許可を得たうえで、DMといった情報を配信するものです。

 「ゴミ箱へ直行」の確率を減らせるとともに、DMであればヒット率、つまり購買確率の高さを期待できます。許可を得る段階で、潜在顧客の掘り起こしにある程度成功しているからです。

 一般にオプトインメールでは、まずバナー広告や懸賞サイトなどを通じて個人情報を集め、その後に情報提供を何度か繰り返します。

 レスポンス状況を見ながら、見えない相手が望んでいる商品やサービスを探っていきます。つまり、購買を見込めそうな顧客に絞るまでには、時間がかかるわけです。

 ここで脚光を浴びそうなのが、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の活用です。SNSは、趣味や生き方などを同じくする仲間の輪を広げる“人脈づくりサイト”。この参加者たちに、会の目的に合った情報を届ければ、購買確率は高くなるはずです。

◆事例
SNSを活用する全日空

 全日本空輸(全日空)は今年春に、マイレージの会員組織サイトにSNSの機能を取り入れました。スキーやゴルフといった旅行に関連する10のコミュニティーが生まれています。全日空は、DM送付の許可を得たコミュニティー参加者に対して販促を始めました。スキーのコミュニティー参加者にはスキーツアーの案内を出すといったものです。