アウトソーシングの新形態。事業(ビジネス)の変革(トランスフォーメーション)を外部に委託する形態だと考えればよい。委託業者との深いパートナーシップが求められる。

 これまで、アウトソーシングで外部に委託する業務といえば、自社にとって付加価値の低い非中核業務だけでした。しかし、最近になって、大手のコンサルティング会社やIT(情報技術)業者が中核業務を対象とするアウトソーシングサービスを提供するようになってきました。それが、「BTO(ビジネス・トランスフォーメーション・アウトソーシング)」と呼ばれるアウトソーシングの新形態です。

◆効果
事業を共同経営

 BTOの明確な定義はありませんが大まかにいえば、事業(ビジネス)の変革(トランスフォーメーション)を外部に委託することだと位置付けられます。業務プロセスを再構築するBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)と、業務プロセスを外部に委託するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を組み合わせた形態だと考えれば理解しやすいでしょう。さらに、一般には対象となる業務を支える情報システムの開発・運用を委託するITアウトソーシングも含まれます。

 BTOを採用すると、戦略立案から業務改革、日々の業務運用まで含めて、委託先と共同で事業を推進していく形態になります。委託先が、特定事業における共同経営者のような存在になるわけです。

 BTOを採用するメリットは、委託業者の知識やノウハウを活用できることです。こういうと、今までのアウトソーシングと変わらないようですが、もしも委託業者が対象業務において全世界的なベストプラクティスや最新の技術を知り尽くしていれば、経営環境の変化が激しい現在、その効果は絶大でしょう。

◆課題
業者の見極めが重要に

 裏を返せば、もしも委託した業者が対象業務に対する知識やノウハウが豊富でなければ、BTOのメリットは全くありません。委託範囲が広いだけに、BTOが業績の足を引っ張る可能性すらあります。それだけに、BTOでは委託する業者の選定が、最重要の課題になります。

 さらに、業者との間で深いパートナーシップを築けるかどうかも成否の鍵を握ることになります。ときには機密情報も含めて、自社の状況を把握してもらうとともに、業務改革に向けて現場の社員を主導することも欠かせません。業者に丸投げで、後はお任せといった態度では、必ずや失敗に終わるでしょう。

 もう1つ重要な課題があります。それは、委託業者との間でどのような責任分担をするかを契約時に明確に決めることです。責任分担が不明確では、課金体系も決まりませんし、後々に責任のなすり合いに陥るかもしれません。