写真●トムス・エンタテインメントの工藤智明営業本部ネットワークサービス部長(左)とVobile Japanの林和義執行役員常務営業本部長
写真●トムス・エンタテインメントの工藤智明営業本部ネットワークサービス部長(左)とVobile Japanの林和義執行役員常務営業本部長
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 セガサミーホールディングスでアニメの企画・制作・販売などを手掛けるトムス・エンタテインメント(東京・中野)が、ビッグデータを分析し、その結果をアニメ制作に生かす計画を進めている。

 トムスは将来的に、アニメの視聴日時や回数、視聴ログなどを分析し、アニメ制作などに生かす考え。現状で2000タイトル、5万エピソードを超えるアニメ作品のデータベースを構築しており、これを活用する意向だ。トムスの工藤智明営業本部ネットワークサービス部長は「ビッグデータ分析を通じて、人気作品の好調の要因を探りたい」と話す(写真)

 またトムスは利用者が視聴したアニメを記録・管理できるサービス「アニ×me(あにみ~)」を提供済みだ。この8月には、スマホのカメラ機能を使って作品を特定できる「カメラ認証で探す」機能を追加した。具体的には、スマホのカメラでアニメの画像や動画を撮影すれば、その作品のタイトルやスタッフ・キャスト、キャンペーンといった情報をリアルタイムで確認できるというもの。これは視聴データの収集にも生かせる。この機能を実装するために、米Vobileのフィンガープリント技術「msync」を採用した。

 すでに米国では映画や演劇など娯楽産業における収入予測が広がっている。ネットフリックスやレントラックなど様々なデータ分析会社が登場。主役や脇役、予算、監督、スタッフ、台本や公開場所など興行に関わる要素を分析し、収益予測を立てるモデルを確立しつつある。特に映画製作は巨額の投資を伴うため、興行の成功確率を高めるためにビッグデータが使われている。

 トムスの計画は、日本での先駆けといえ、その予測モデルの構築から業界の受け止め方まで多方面で注目が集まりそうだ。日本ではビッグデータと言えば現状は販促やマーケティング領域が中心だが、コンテンツ制作にも広がればM2M(machine to machine)の領域が拡大分野となりそうだ。