写真1●ドリーム・アーツでは営業担当者の実績をオフィスに大きく掲示している
写真1●ドリーム・アーツでは営業担当者の実績をオフィスに大きく掲示している
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写真2●ドリーム・アーツの前川賢治取締役最高技術責任者
写真2●ドリーム・アーツの前川賢治取締役最高技術責任者
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 ソフト開発のドリーム・アーツ(東京・渋谷)が営業改革で成果を上げている。営業担当者のKPI(重要業績評価指標)である顧客への訪問件数を社内で「見える化」。全社員がひと目で実績を確認できるようにしている。これにより、従来は平均で40件だった1人当たりの月間訪問件数が、見える化後は平均で250件、最大で400件にまで伸びている。見込み客も3倍ほどに増え、受注に結び付いている。

 ドリーム・アーツは2012年5月頃から、各営業担当者がどれだけ顧客を回ったのかが社内でひと目で分かるようにした。担当者ごとに顧客への訪問件数の実績をオフィスに大きく掲示し、日々更新する(写真1)。IT企業でありながらも、あえてアナログなやり方を採用し、営業担当者のマインドを変えようとしたのだ。これまでは営業用の資料を作ることが目的になり、そもそも顧客の下に出向く頻度が少なかったり、的外れな提案になっていたりしたという。

 成果が出始めたのをきっかけに、2013年初めにはKPIを変えた。具体的には、いくらの案件の種をどれだけデリバリー部門に引渡したのかに変更。これまでの訪問件数よりも受注という成果に結び付きやすいものをKPIとして設定した。前川賢治取締役最高技術責任者は「コールセンターシステムなど今までにないような受注も出てきた」と手応えを口にする(写真2)

 さらにこの6月には、営業担当者15人ほどからパソコンを取り上げ、米アップルの「iPad」ですべての業務をこなすやり方に本格的に変えた。会社のなかでパソコンで作業をする時間を極力減らし、その分を顧客への訪問に充ててもらうためだ。前川取締役は「1人ひとりの便利さを積み上げるのが、会社全体の効率につながるわけではない」と話し、取り組みを加速させる考えだ。