臨床検査装置を手がけるエイアンドティーが、製品の品質改善策の一環でビッグデータ分析に取り組んでいる。ある検査装置の特定部品(「電極」と呼ぶ消耗品)の不良率を低減するため、2万台分の生産管理データや品質管理データ、検査データなど大量のデータを分析し、生産・品質管理工程での問題点を抽出する活動を2012年末から進めている。

写真●エイアンドティ-が手がける検査装置
写真●エイアンドティ-が手がける検査装置
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 同社は大量データ分析で、富士通が提供する「データキュレーションサービス」を活用した。「業務知識の先入観を持たない外部のプロにデータを分析してもらうことで、客観的に当社の生産・品質管理面の課題を見極めてもらうのが得策と判断した」。エイアンドティーで技術本部長を務める榊徹常務取締役はこう話す。

 データキュレーションサービスは、富士通のデータサイエンティストがユーザー企業のビッグデータ分析を支援するサービス。基本料金は500万円である。

 データキュレーションサービスを通じて、エイアンドティーの生産・品質管理には「改善すべき問題がない」ことが今年4月に分かったという。この結果を踏まえ、エイアンドティーは「電極を顧客先に届けるまでの輸送段階に不備がある可能性が高い」との仮説を立て、検証を進めている。

写真●検査装置に付ける「電極」
写真●検査装置に付ける「電極」
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 輸送面での問題点を見極めるため、同社は4月以降、出荷した製品にセンサーを取り付け、加速度や気温などのデータを収集。陸海空の輸送経路でどのような環境下で製品が運ばれているのかを具体的な数値で把握している。「データキュレーションサービスで科学的な方法によって、不良品が発生する原因をある程度絞り込むことができたことは良かった」と榊常務は満足する。