写真●住友商事グループの「ICTシナジー協議会」の運営委員長を務める住友商事の伊藤友久IT企画推進部長
写真●住友商事グループの「ICTシナジー協議会」の運営委員長を務める住友商事の伊藤友久IT企画推進部長
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 住友商事が国内グループ会社70社を対象にクラウド型情報システム「SCグループクラウドサービス」を構築し、順次利用範囲を拡げている。SCグループクラウドサービスでは、会計や経費精算、勤怠管理、電子メール、文書共有、テレビ会議など約20種類を共通システムとしてメニュー化し、グループ各社が必要に応じて利用できる仕組みだ。

 SCグループクラウドサービスは、住友商事グループのIT会社であるSCSKが構築したプライベートクラウド。「パブリッククラウドの利用も検討したが、安全性とコスト、保守サービスなど様々な観点から、SCSKのクラウドサービスを活用することに決めた」。住友商事の伊藤友久IT企画推進部長はこう説明する。

 住友商事は、グループ共通システムをクラウドで展開するだけでなく、パソコンやサーバー、複合機などIT製品のグループ共同購買も進めている。クラウド化と共同購買によって、グループのITコストを今後5年間で25億円削減することを目標に掲げている。住友商事グループ(本体を除く)のIT総投資額は年間250億円で、その10%に相当する金額を減らす。

 ITコストを削減した分は、グループ各社の攻めの投資に回す考え。「数値目標の達成に向けて、順調にITコストを抑制できている。浮いた分は、売り上げや事業の拡大に向け、ビッグデータやデータ分析といった領域に振り向けたい」(伊藤部長)。

 グループのIT戦略を強化するため、住友商事は2012年に「ICTシナジー協議会」と呼ぶ組織を立ち上げ、新たなITガバナンスを推進している。「従来のように本社が一方的にIT統制するというやり方では、総論賛成・各論反対でなかなか効果の上がる手を打てない。各社のIT部門と自由に情報交換することで、グループシナジーが出るような最適な情報化施策を考案、実践する体制を整えた」と説明する。