写真●コーレルの社員が使うPCの画面。情報共有クラウドのmoreNOTEとSkypeを画面上に表示させてWeb会議を行っている
写真●コーレルの社員が使うPCの画面。情報共有クラウドのmoreNOTEとSkypeを画面上に表示させてWeb会議を行っている
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 社外にいる同僚とネットで打ち合わせをするマーケティング担当者。その担当者が使うWindows 8搭載パソコン(PC)の画面を見ると、左側に同僚を映した映像が並び、それぞれから声が聞こえてくる(写真)。画面右側には、打ち合わせの内容を示す資料が大きく表示。担当者が手書きの線を加えてディスカッション。同僚が画面上の資料をめくると、担当者の資料もそれに合わせてページが変わる──。

 写真編集ソフトのPaintShop Proや、文書ファイルをPDFに変換するソフトであるPDF Fusionといったソフトウエアの開発・販売を手がけるコーレル(東京・港)では、社外と社内で離れた担当者同士で、このようにして打ち合わせを進めている。

 一見、出来合いのWeb会議システムのようだが、さにあらず。動画と音声はSkypeでやりとりし、資料は、富士ソフトが提供する情報共有クラウド、moreNOTEを使って表示させている。

 moreNOTEは、クラウド上に書類データや動画、画像データを一元管理しておくと、iPadやiPhone、Windows 8/RT搭載端末から簡単に閲覧できるサービス。閲覧には、専用のクライアントソフトが必要で、ユーザーIDとパスワードの認証だけでなく、端末認証も行って、なりすましによる閲覧を防いでいる。

 コーレルではmoreNOTEとSkypeを、Windows 8が備える、複数アプリを並べて表示させるスナップ機能を使い、画面上で統合。Web会議システムのようなユーザーインタフェースにして、打ち合わせをしやすくしている。

 「場所が離れた社員同士で打ち合わせをするときにも、あらかじめメールで資料を配布したりする手間がかからず、すぐに打ち合わせを始められる。各端末の画面に表示される資料のページも同じなので、論点がぶれずに打ち合わせを進めることができる」と、コーレルの長尾武司OEMセールスグループ部長は話す。

 2人で打ち合わせをする場合や映像を送る必要がないときは、PCやiPad、iPhoneに資料だけを表示。音声は電話に切り替えて使っているという。状況に合わせて手軽に通信手段を選べる機動性が魅力のようだ。

本来の導入目的は社外からのスムーズな情報共有

 このような「Web会議システム」が利用できるようになったのは、moreNOTEを導入し始めた2013年3月以降のことだ。ただし、Web会議システムを実現させるためだけに導入したわけではない。社外からでもスムーズに情報共有をする。これが本来の導入目的だ。

 コーレルの堺 和夫 社長によると導入前は、社外にいることが多い営業担当者との情報共有が課題だったという。社内にいれば容易な共有サーバーによる書類データのやり取りが、社外からだとVPNを使って行う必要があった。「いつでもどこからでも書類データを取り寄せて、スムーズに営業活動ができる仕組みが必要と考え、採用した」と堺社長は話す。

 採用後は、営業担当者が顧客企業の訪問時、タブレット端末に、moreNOTEで管理している最新の説明資料を取り込んでプレゼンを行ったり、最新の製品データを提示したりすることができるようになったという。

 moreNOTEでは、オフィスソフトのファイルや画像・映像ファイルを表示できるが、コーレルでは海外拠点との間でやり取りするファイルに一部表示が難しいものも扱う。そのため、共有する書類データをPDFに変換してからmoreNOTEのクラウドにアップロードするようにしている。

 変換やアップロードには、運用で工夫を凝らす。「PDF Fusionを使って複数ファイルをPDFに一括変換したあと、moreNOTEが備える機能で一括アップロードしている。管理者としての手間はほぼゼロ」と、福井秀和OEMセールスグループOEMプロダクトマーケティング部長は話す。