遠鉄グループの「データサイエンティスト」である遠州鉄道の宮田洋営業推進部長(写真撮影:廣瀬貴礼)
遠鉄グループの「データサイエンティスト」である遠州鉄道の宮田洋営業推進部長(写真撮影:廣瀬貴礼)
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 遠州鉄道(静岡県浜松市)を中核に事業を展開する遠鉄グループが、ビッグデータ分析で成果を上げている。例えば遠州鉄道が主催する旅行事業で、データ分析に基づく販促活動により、リピート客が最大で2倍近くに増えたという。

 このケースでは過去2年間、同社の主催旅行を利用していない顧客を「新規」と定義。新規顧客の利用動向を分析し、固定客になってもらえる“必勝パターン”を見つけ出した。従来は、過去に主催旅行に参加したことがある顧客に対してカタログ送付や新聞の折り込みチラシの配布が中心で、「お客様の顔が見えていなかった」(遠州鉄道の宮田洋営業推進部長)。

 同社は、主催旅行を「目玉」「通常日帰り」「通常宿泊」という3つのコースに分類。3コースのいずれかに新規で参加した数千人を対象に、過去2年間にさかのぼり参加動向を分析。例えば、2回目の参加者の5割ほどが3回目にも参加する傾向が高まることが分かった。

 固定客にするには、2回目に参加してもらえるかどうかが鍵を握っていることなど、「データ分析を通じてお客様の動きが見えてきた」(中村桂営業推進部IT戦略課副課長)。こうした結果を踏まえて、早期に2回目の参加を促す特典付きのダイレクトメールやアフターフォローのための電話などを実施。何もしないケースに比べ、リピート客の数が最大で2倍近くに増えた。「想像以上の成果」と宮田部長は言う。

 遠鉄グループは鉄道からバス、百貨店、ホテルというように幅広い事業を展開している。今後は事業横断で様々なデータを分析し、事業強化を図る考え。日本IBMのデータ分析ツールも導入するなど情報システムの整備も進めている。