写真●横浜南共済病院の外観
写真●横浜南共済病院の外観
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 650を超える病床を持つ国家公務員共済組合連合会 横浜南共済病院(写真)は2013年2月、新病棟の建設に合わせて基幹系システムを刷新した。さらに院内の音声ネットワークをIP化すると共に、医師150人にスマートフォンを配布。情報通信基盤の拡張性を高めた。投資額は合計で約10億円と見られる。

 横浜南共済病院が取り組んだ施策は三つある。一つめは、基幹系システムの刷新だ。10年前に導入した旧ハードウエアを富士通製メインフレームに置き換えた。新基幹系システムは、医療会計や患者情報管理、処方や検査のためのオーダリング機能などを備える。従来は紙で管理していたカルテも電子化した。

 二つめは、ネットワークのIP化である。同病院はデジタル方式の日立製作所製PBXを20年間使用してきたが、同社製のIP-PBX「CX-01」を新たに導入し、新病棟に配置した。基幹系システムで使用するネットワークと共有化することが狙いだ。従来は音声向けネットワークと情報システム向けのネットワークが分離されていたため、二重でコストがかかる状態だったが、音声のIP化によってネットワークインフラを共有することができる。現在は旧病棟向けにデジタル方式のPBXを残しているが、三期にわたる新病棟建設が完了すれば、新しいIP-PBXに完全移行する予定だ。

 三つめは、Android搭載スマートフォンの導入。医師は外来診察や検査、手術など様々な業務をこなすため、院内を激しく動き回る。内線用の携帯端末は必需品だ。今まではPHSを配布していたが、音声ネットワークのIP化に合わせてスマートフォンを新たに配布し、無線LAN経由で内線電話をかけられるようにした。「PHSの場合、端末の選択肢が限られていた。市場に出回っているスマートフォンならば自由度が大きいと判断した」と、横浜南共済病院建築課の岡本達也建築課長は語る。2015年1月までには、看護師を含めて計500台を導入する。

 「情報通信基盤を刷新することで、サービスを柔軟に拡張できる環境が整った」(岡本課長)。音声ネットワークのIP化とスマートフォン導入を担当した日立システムズによると、今後は、スマートフォンでナースコールを受信できる仕組みの構築などを予定しているという。