ワイシャツ専業のSPA(製造小売り)である東京シャツ(東京・千代田)は新たな販路を開拓するため、ウェブ直販を2013年1月に開始した。実店舗側では、ワイシャツ専門店「ブリックハウス」での販売力を強化するため、店舗へのタブレット導入を検討している。さらに2014年には、老朽化した基幹系システムの再構築にも着手する計画だ。

 商品の中心価格帯が3800円のブリックハウス。知名度こそ「鎌倉シャツ」(メーカーズシャツ鎌倉が展開)が目立つが、全国に約200店を展開する規模を誇る。綿100%の形態安定シャツを業界で先駆けて開発した同社の売上高は、約120億円、営業利益率は10%以上に達する。「およそ10年、増収増益を続けている」と東京シャツの吉野明男専務は言う。売上高はメーカーズ鎌倉シャツの約4倍とされ、シャツ専門店としては国内トップに立つ。

写真1●「優れた縫製技術による高品質なワイシャツはもちろん、データ分析力も当社の強みの1つ」と東京シャツの吉野明男専務
写真1●「優れた縫製技術による高品質なワイシャツはもちろん、データ分析力も当社の強みの1つ」と東京シャツの吉野明男専務
[画像のクリックで拡大表示]

 同社の好調を支えているのが、データ分析部門「コントローラ部」の存在だ。コントローラ部の担当者は、データ分析システムを活用し、店舗ごとの顧客数や売り上げ数量、購入単価の平均、「セール・プロパー(正価)の販売比率」、「セット率(ワイシャツとネクタイなどを同時に購入したかどうかを示す)」などを把握。販売実績については、「商品アイテム別」に加え、「価格帯別」、「サイズ別」、「襟の形状別」など様々な切り口で販売動向を分析できる仕組みだ。データ分析システムは、野村総合研究所と共同で開発したという。

写真2●東京シャツが展開するワイシャツ専門店「ブリックハウス」
写真2●東京シャツが展開するワイシャツ専門店「ブリックハウス」
[画像のクリックで拡大表示]

 コントローラ部員は、「どの店舗にどんな商品を陳列すれば、欠品や売れ残りを最小化できるか」を日々、シミュレーション。店舗のエリア担当者と議論して、店舗間で移動させる商品のモデルや数量を決め、毎週、各店舗の商品を入れ替えている。

 「店舗によって売れ筋商品は微妙に異なる。3人のデータ分析屋が、売れる・売れないを日々、緻密に分析し、商品を店舗間で融通し合うことで収益性を高めている」と吉野専務は自信を見せる。