ポイントはここ!

●使い勝手に徹底的にこだわったオリジナル端末を富士通と開発

●情報のプッシュ通知で営業を支援、進捗状況の見える化も実現

第一生命保険

 第一生命保険は2012年8月、タブレット端末を活用した新営業支援システム「新・生涯設計 eNav!tシステム」を稼働させた。営業担当者に配布する情報端末は今回で6世代目。端末のOSには、既存資産を有効活用できるWindows 7を採用。使い勝手を良くするため、富士通に依頼してオリジナル端末を開発した。導入台数は5万台に及び、4万人以上の営業担当者などに配布した。

 新システムを導入した狙いは、営業担当者のコンサルティング力の強化。以前から情報端末を活用していたとはいえ、紙が中心の世界。新システムでは、タブレット端末を活用して紙と同じような感覚で商品・サービスを説明したり、顧客と対話しながら保険を設計したりできる機能を搭載してスキルの底上げにつなげる。さらに担当者の顧客接触履歴を“見える化”し、拠点長などが進捗管理や指導に役立てられるようにした。

タブレットは独自設計でも安い

 同社は2010年11月に公表した総合マーケティング戦略「新・生涯設計」で顧客との接点を強化し、商品やサービスの質と提案力を高めていく方針を打ち出している。システムの刷新が決まったのは2009年12月。それまで使っていた5世代目のWindows XPのノートパソコンは導入後7年が経過しており、保守契約を延長しながら使っている状態だった。システム刷新を機に端末も置き換えることにした。

 端末を検討していた2010年5月頃に、ちょうど、初代iPadが登場。すぐに購入して検証を始めたが、「閲覧は苦ではないが、コンサルティングしやすい端末となると話は別。相当悩んだが、最終的に既存アプリケーションの流用が難しいなど、制約が多かったことから見送った」(生涯設計開発部の岩井泰雅部長)。

 とはいえ、当時はまだタブレット端末の種類が少なく、使い勝手の面で満足できる端末も見当たらない。そこで端末を独自設計することにした。タブレット端末は部材が少ないうえに標準部品を採用してコストを抑えているため、「導入費用はこれまで使用していたノートパソコンより安く済んだ」(岩井部長)という。