第一三共ヘルスケアの山本貴史カテゴリーマネージャー
第一三共ヘルスケアの山本貴史カテゴリーマネージャー
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 第一三共ヘルスケアは、栄養ドリンク「リゲイン」の試飲即売会の実施を担う業務委託先とクラウドで情報共有するシステムを導入した。委託先は人材派遣会社や資材会社などで、新システムにより委託先の業務負担が軽減される。2012年度上半期は営業担当者による試飲即売会の実施申請が前年同期比15%ほど増加。マーケティング部の山本貴史カテゴリーマネージャーは「営業担当者が試飲会を実施する店舗を戦略的に考えるようになり、意識改革につながっている」と話す。

運用コストを40%ほど削減

 ドラッグストアなどの店舗で開催している試飲即売会は、「リゲイン」の販売促進活動の大きな柱の1つ。実施件数は全国で年間数千件に上る。当初は約100人の営業担当者が即売会を実施するたびに、FAXで業務委託先の人材派遣会社や資材会社に実施店舗の住所や必要な人材、サンプルなど資材の確保を連絡していた。

 2008年にウェブ管理に移行したものの、店舗住所や販売実績などの情報を全て手入力しなければならず、記載ミスが絶えなかった。しかも数万件に上る得意先の店舗情報をまとめたマスターデータのメンテナンスは半年や年1回ごとにシステムを止めてアップデートしていた。このため住所更新などがタイムリーに行えないこともあった。

 そこで情報をクラウドに移行してメンテナンスも自らできる仕組みにすることを狙い、第一三共グループと取引関係のあったパイプドビッツの「スパイラル」を採用した。改善点は3つあるという。
 1つは店舗の住所記入がマスターデータとリンクされてエリアを検索すると選択でき、記載ミスがなくなった。2つめは、新たな店舗の住所入力や営業担当者の異動などを随時更新できるようになった。3つめは、自社サーバーからクラウドシステムに変更して販促費用に計上していた運用コストを40%ほど削減できたという。

 業務委託会社とのやりとりはシステムですべて完結。過去1年分の販売実績やコメントなどをもとに、山本カテゴリーマネージャーが効果的な店舗で試飲会が実施できるよう、情報を加工して営業担当者に伝えている。

 少子高齢化に伴って、栄養ドリンク市場は縮小傾向にある。試飲会の実施は手間がかかるものの、飲んでもらう機会を販促活動として提供し続ける必要があるという。こうした中で、リゲインはシリーズの新製品の効果も加わって2012年度上期の売り上げは1割ほど増加。100件以上の試飲会実施の申請をした営業担当者も現れ、売り上げが前年比2倍に増えたエリアもあるという。