写真●高島屋の津田芳雄IT推進室室長
写真●高島屋の津田芳雄IT推進室室長
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 大手百貨店の高島屋は刷新した情報系システムを営業や仕入れ、販促などに幅広く活用している。これにより各売り場や店舗の売り上げをリアルタイムで把握、「速報値」として30分ごとに全社で集計する。店長やセールスマネージャー、売り場担当者ら約5000人の社員が、各商品や売り場単位で売上高を見て、動向を分析できる環境が整った。

 「データをうまく使えば高い効果が得られるとの認識が広がっている」。高島屋の津田芳雄IT推進室室長はこう手応えを語る(写真)。高島屋は2011年9月に日本テラデータのデータウエアハウスを採用し、情報系システムを刷新した(関連記事)。新システムでは売り上げの変化を30分おきに見られたり、粗利益を日次で参照できたりする。津田室長は「新システムで利益も素早く分かるようになった」と話す。

 また分析データで「売り場」の動向も見る。かつては「ネクタイがどれだけ売れたか」というように商品軸で捉える傾向が強かったという。しかし「店舗の売り場ごとに商品の販売数量や額は異なる」(津田室長)ため、綿密に把握するようにしている。

 新システムのメリットを広く理解してもらうために、高島屋は営業企画部を通して、社員の分析スキルを高めている。活用事例を他の部署に教える例も増えている。百貨店業界を巡っては、大丸東京店がこの10月に、阪急うめだ本店(大阪市)が11月にそれぞれグランドオープンするなど競争が激化している。高島屋はIT(情報技術)力を高めることで、売り上げや収益の底上げを狙う。