ヤマトホールディングス傘下のヤマトクレジットファイナンス(東京都豊島区)が提供する「クロネコあんしん決済サービス」が好調に顧客を獲得している。インターネットで商品を仕入れる小売店や外食店舗などの信用調査を行い、メーカーや卸との掛け取引を可能にするもの。同サービスを利用して商品を仕入れる小売店などの数は約1万4000社に上っている。

 同サービスの主要顧客は、ネットで商品を販売するメーカーや卸業者。近年、ネットに販売サイトを開いて商品を紹介し、そこに小売店が注文して宅配便で届ける企業間(B2B)取引が急増している。個性ある商品を開発する中小メーカーはもとより、大企業が新事業の立ち上げに当たり、低コストで販売チャネルを構築するうえで、ネットを活用する例も増えている。

 この際にネックになるのが決済だ。企業対個人(B2C)のネット取引では代金引換(代引き)やクレジットカード支払いが主流。しかし継続的な取引が行われるB2Bの場合、配送のたびに支払いを行うのは煩雑で掛け取引を望む買い手が多い。

 しかし掛け取引には、買い手の信用審査が必要になる。みずほフィナンシャルグループ系列の信販会社ファインクレジットを前身とするヤマトクレジットファイナンスは、信販事業で培った与信や回収のノウハウを生かし、2008年にクロネコあんしん決済サービスを開発した。ネットでのB2B取引の拡大に伴ってサービスの認知度も上がり、2010年から取引が急拡大した。ネット販売事業者にとっては売掛金未払いリスクを回避しながら、取引先を拡大できるメリットがある。

 同サービスを契約した企業は、販売サイトで注文を受けると、その情報をヤマトクレジットファイナンスのシステムに入力。ヤマトクレジットファイナンスは買い手の信用審査をし、取引が可能であれば、請求書発行や支払い確認、売り掛けデータの消し込み作業などを一括して行う。

 ゴルフクラブのシャフト製造大手のグラファイトデザインでは、レース用自転車のフレーム製造・販売事業を拡大するため、同サービスを採用した。以前は卸経由で販売店の開拓や販売促進をしていたが、2012年秋からこれらを自前でやる体制に変更。クロネコあんしん決済で売掛金未払いリスクを回避しながら取引先を急拡大し、以前の2倍にあたる100社の取引先を確保した。

 B2B取引が増えれば、宅急便の使用増加も見込める。また販売サイトの構築やコールセンターサービスなどを運営するヤマトグループ各社の取引拡大にも寄与すると期待されている。