ポイントはここ!

●クラウドサービスの選定に際して、セキュリティ仕様などを徹底チェック

●ユーザー情報の集中管理システムを導入して人事異動時の手間を削減

日本ATM

 金融機関向けにATM監視サービスを展開する日本ATMは、社内インフラの抜本的な見直しを進めている。同社人事総務本部情報システム部の上田敏勝部長兼CIOは、「信頼性やセキュリティ、BCP(事業継続計画)などあらゆる面で数段のレベルアップを図る」と意気込みを見せる。

 2011年末までにERP(統合基幹業務ソフト)や営業支援といった社内のOA系システムをクラウドサービスに全面移行。2012年度は仮想デスクトップ環境の全社導入、2013年度はデータセンターの2極化も計画する。このデータセンター2極化まで終えて完成形となる。

東日本大震災後、一気に加速

 見直しのきっかけは、システムの老朽化と運用負荷の増大。これに、東日本大震災後のBCPへの強烈な意識向上が加わり、見直しが一気に加速した。

 1999年1月の事業開始以降、OA系システムは必要に応じて機能を継ぎ足してきたが、大きな見直しは今回が初めて。機能が増えるにつれ、ハードウエアの性能や拡張性が必ずしも十分とは言えなくなってきた。同時に、いくつもあるシステムごとにユーザー情報の登録・変更・抹消の手間がかかるなど、運用面の問題も顕在化していた。

 また、金融機関向けにサービスを提供する企業として、同社にはセキュリティや事業継続性の確保はひときわ強く求められる。社内向けのシステムについて、主要業務のATM監視で使うシステムと同レベルとまではいかないにしても、可能な限り強化したいと常々考えていた。

 こうした背景で、クラウドサービスを活用したシステム基盤強化に乗り出したところに、東日本大震災が発生。社長から、インフラ刷新を早めよとの大号令が下り、約5カ月前倒しでクラウドへの移行を終えた(図1)。

図1●プライベートクラウドへの移行と同時にユーザー情報の一元管理システムを導入<br>従来はシステムごとにユーザー情報を個別に管理していたが、ID管理システムを介して人事情報を自動的に反映する仕組みを構築した。
図1●プライベートクラウドへの移行と同時にユーザー情報の一元管理システムを導入
従来はシステムごとにユーザー情報を個別に管理していたが、ID管理システムを介して人事情報を自動的に反映する仕組みを構築した。
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