北陸医療圏の中核病院である金沢大学附属病院は、新築したばかりの臨床研究棟のネットワークにOpenFlowを採用し、2012年4月1日に稼働させた。組織内ネットワークでOpenFlowを適用する例は、世界的に見てもまだ珍しい。

 OpenFlowを採用した理由は主に三つある。ネットワークの管理・監視コストを抑えられること、共通の物理ネットワーク上で複数の部門ネットワークを独立運用できること、冗長性の確保や将来的な拡張が容易であること---である。

ポイントはここ!

●OpenFlowの採用理由はネットワーク管理コストの削減

●オープンプロトコルのため通信機器の価格低下にも期待

金沢大学附属病院

 新臨床研究棟のネットワーク構築に当たって、担当した長瀬 啓介経営企画部教授が最も重視したポイントは、「医療事務」「検査」「放射線」といった部門ごとに構築・運用されていたネットワークを統合すること。OpenFlowを使って各部門ネットワークを仮想化し、単一の物理ネットワーク上に集約した(図1)。

図1●新臨床研究棟のネットワーク概念図<br>新研究棟の建設に伴って、従来は個別に構築していた部門ネットワークを、OpenFlowを使って仮想化し、同一の物理ネットワーク上に統合した。OpenFlowでは、仮想ネットワーク構築のほか、障害発生時のフェイルオーバーなどの制御を実施する。
図1●新臨床研究棟のネットワーク概念図
新研究棟の建設に伴って、従来は個別に構築していた部門ネットワークを、OpenFlowを使って仮想化し、同一の物理ネットワーク上に統合した。OpenFlowでは、仮想ネットワーク構築のほか、障害発生時のフェイルオーバーなどの制御を実施する。
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