住友生命保険は2012年8月上旬までに、新しい営業職員用のスレートPC端末約4万台の配備を完了させた。4月から試験導入を始め、6月から7月にかけて順次全国の営業職員への配布を進めていた(関連記事)。現在、順調に稼働しており、営業職員が客先訪問時に持ち歩き、商談時に活用するようになっている。

写真1●住友生命保険が営業職員用に導入したWindowsタブレット端末。キーボードも接続できる
写真1●住友生命保険が営業職員用に導入したWindowsタブレット端末。キーボードも接続できる
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 住友生命が導入したのはNECが住友生命向けに独自開発したスレート(タブレット)PC端末。OSは「Windows 7 Professional SP1」で、12.1インチのタッチディスプレイを搭載した。重さは945グラム。外部との通信はNTTドコモのLTE通信サービス「Xi(クロッシィ)」で行い、Xiのエリア外ではFOMAを使う。

 操作は指や付属のタッチペンで行えるほか、付属のミニUSBキーボードを使ってキーボード入力もできるようにした(写真1)。NECはこの機種を「VersaPro J タイプVZ」(関連記事)として製品化している。

紙の「設計書」から脱却

 住友生命では従来も、営業職員に1人1台ノートパソコンを配布していた。ただし、約1.2キログラムの重さがあるうえに、通信機能に制約があり、利便性が低かった。客先を訪問して対面で話をする時にキーボードとパソコン画面に集中することへの抵抗感も強く、営業職員の間ではあまり使われていなかったという。

 このため営業職員の間では、依然として営業拠点で保険商品の「設計書」を紙でプリントアウトし、客先に持参して商談するというスタイルが一般的だった。ところが、客先で「もう少しこの部分の保障を手厚くしてほしい」といった要望を受けても、その場で保障額や保険料を再計算することはできない。持ち帰って再度プリントアウトし、次回訪問時に新しい設計書を渡す必要があった。再入力と再訪問の手間がかかるうえに、次に訪問した時には顧客の側の保険加入意欲が冷めているケースもあり、効率が悪かった。