写真●「スマートハイムコンサルティングレポート」の画面
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 積水化学工業の住宅カンパニーは7月1日、住宅購入顧客に提供しているHEMS(住宅エネルギー管理システム)対応サービス「スマートハイム・ナビ」の機能を強化した。HEMSによって見える化した顧客の電力利用状況を、機能強化前よりも詳細に分析。顧客ごとに合った光熱費の節約方法を、専用ウェブサイトやメールで提案するようにした。林哲也技術部環境・快適住宅推進G主席研究員は「快適な環境を保ちながら光熱費を節約できるようにして、顧客の満足度を高められる」と話す。

 機能強化版のスマートハイム・ナビでは、家族構成、居住地域、空調や給湯にどんな設備を利用しているのかといった条件に基づいて顧客を800の属性に分類した。この属性と、平均的な使用電力量との比較などを組み合わせ、約3万パターンの省エネアドバイスのメッセージを作成。顧客用ウェブサイト「スマートハイムFAN」を通じてアドバイスする。1カ月の総消費電力や家電などの効果的な使い方を提案するメールも配信する。例えば「空調の使用方法を見直す」「調理家電の利用時間帯をずらす」といった内容である。

 スマートハイム・ナビは2011年秋から運用を開始しているが、これまでは簡易なアドバイスにとどまっていた。契約する顧客の数が増え、HEMSのデータを相応に集積できたことによって機能強化が可能になった。

 積水化学工業の「セキスイハイム」シリーズの売れ筋は、大容量の太陽光発電システムを組み込んだモデル。太陽光による発電・売電に加えて、夜間の電気料金が割安な契約を電力会社と結び、夜間蓄熱式機器を活用するといった工夫を重ねることで光熱費を大幅に節約できるのが特徴である。

 ただ、昼間の時間帯に電力を多く利用する顧客の場合、太陽光で発電した電気を自宅で消費し、光熱費の削減効果が小さくなってしまうことがある。こうした顧客が同社のアドバイスに沿った省エネ策を実行すると、20%程度の光熱費の節約が期待できるという。

10年後の設備更新時にも効果発揮

 さらに10月にはHEMSシステムを通じて蓄電池の経年変化を把握できるようにする。林主席技術員は「10年ほど後に設備の更新時期を迎えた際に役立つ」と語る。顧客に更新を提案する際に、蓄電池の状態を客観的なデータに基づいて説明できるからだ。最適なタイミングで設備更新を提案することで、顧客に同社グループのサービスを継続的に利用してもらいやすくなるわけだ。