ポイントはここ!

●UQのモバイルWiMAX網と学内LANを直結してリモートアクセス

●学術情報ネットワーク(SINET4)、学術認証フェデレーションを効果的に活用

 京都大学は2012年4月、UQコミュニケーションズ(以下、UQ)と共同で、教職員や学生向けに、UQのモバイルWiMAXサービスのエリア内であればどこからでも学内LANに接続できる無線接続環境を構築した。ポイントは、京都大学側は既存の資産を活用することで、ほとんど追加コストをかけずこれらのネットワークを構築した点だ。

既存の仕組みを効果的に活用

 モバイルWiMAX経由で学内LANに接続する仕組みは、企業ネットワークにおけるリモートアクセスの構成とほぼ同じだ。UQのネットワークセンターと学内LANを直結することで実現した。このネットワークセンターと学内LANを結ぶ中継網に、既に利用中の学術情報ネットワーク(SINET4)を流用し、コストを抑えた。通常は専用線などのWANを調達する必要がある。

 教職員や学生は、モバイルWiMAX対応パソコンやモバイルルーターなどを自分で購入。UQの専用サイト上でサービスを申し込む。この際、UQのサインアップ用システムと京都大学内の認証システムを連携させて、大学に籍を置いているかどうか確認する仕組みとした。具体的には、在籍確認の仕組みには、学術認証フェデレーション(以下、学認)が進める認証連携の技術を応用した。こちらも京都大学は既に導入済みだった。

 ここで発行されたIDには、UQが用意する月額3200円の京都大学向け専用プランが適用される。このIDでモバイルWiMAXに接続すると、VPNなど特別な設定を施すことなく、直接学内LANに接続されるようになっている(図1)。

図1●WiMAXエリアであればどこからでも学内LANにアクセス可能なネットワークを構築した京都大学
図1●WiMAXエリアであればどこからでも学内LANにアクセス可能なネットワークを構築した京都大学
企業ネットワークにおけるリモートアクセスと同様の形態だが、UQと京都大学を結ぶ中継網に既設のSINET4(学術情報ネットワーク)を、認証方式にこちらも既設の学術認証フェデレーション(学認)の仕組みを使い、追加コストをほとんどかけず構築した点が特徴だ。さらにSINET4と学認を利用している他の機関が、簡単に同様の構成を導入できる形になっている。
[画像のクリックで拡大表示]

 SINET4や学認の仕組みは、他の多くの大学や研究機関も採用している。つまり他の大学や研究機関も、京都大学と同様の仕組みを、ほとんどコストをかけず採用できるモデルとなっているわけだ。