中古車買い取り大手のガリバーインターナショナルが若手リーダーの選抜教育に力を入れている。直近では2011年6月から同12月まで、選抜メンバー合計50人が10チームに分かれて約半年間、「理想の店舗作り」について議論。最後は大勢の社員の前で発表した。練られたアイデアの中には、ガリバーが2012年初夏にも南関東でオープンする予定である大型展示場の構想につながる内容も含まれていた。

写真●理想の店舗作りについてプレゼンテーションする稲毛田忠ガリバー松戸中央店店長
写真●理想の店舗作りについてプレゼンテーションする稲毛田忠ガリバー松戸中央店店長
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写真●プレゼンの後には福島正伸氏(後ろ向きの男性)と抱き合って感動を分かち合った
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 ガリバーが20~30代の若い店長や本社スタッフなどを対象に実施している選抜教育「成長塾」の1つに位置付けられているのが、今回の「ネクストドア・プレゼンテーション」だ。これは、起業家支援や人材育成の分野で著名なアントレプレナーセンター(東京都中央区)の福島正伸氏が提供している研修プログラムである。

 選ばれた50人全員が理想の店舗作りについて企画書を書き、その中から10人のアイデアをまず選ぶ。提案者は「プレゼンター」として自分の企画を発表することになるが、他の社員はプレゼンターの「支援者」になり、5人1組でチームを結成。プレゼンのためのシナリオ作りから映像や音楽まで、半年がかりで一緒に作り上げる。

 全国に店舗網を持つガリバーの場合、各チームメンバーは初顔合わせの人たちも多い。だが半年間はメールや電話でコンタクトを取りながら、時には仲間で集まって10分間のプレゼン資料作りに没頭する。2011年12月には10チームが選抜メンバー全員の前でプレゼンを実施し、優秀な3チームに絞る。そして翌日には大ホールを貸し切った店長会議の場で発表する。

 研修の狙いは、新たな事業価値と感動を顧客に提供するビジネスプランを創造する過程の中で、10人のプレゼンターを40人の支援者が支え、チームビルディングすることにある。普段の業務の枠を越えた活動で、メンバー同士の相互理解を深める。プレゼンでは感極まって泣き出すメンバーが続出するという。福島氏の手掛けるプレゼンイベントに涙は欠かせず、事前にハンカチが配られることもある。

 今回、ネクストドア・プレゼンテーションの決勝大会に進んだ3チームのテーマはそれぞれ、「ヤミツキ展示場クルマ銀河」「究極のローカル店舗」「世界中の障害者に運転する喜びを」。このうち、「世界中の障害者に運転する喜びを」を発表した稲毛田忠ガリバー松戸中央店店長のチームが聴衆の店長たちから投票で「感動共感大賞」に選ばれた。

 稲毛田店長は「半年後にはチームの結束力が高まり、10チームの発表時には涙が止まらなかった」と振り返る。こうした感動体験がチームワークを高めるという。