写真●ビッグ・エーの小嶋弘義代表取締役社長
写真●ビッグ・エーの小嶋弘義代表取締役社長
[画像のクリックで拡大表示]

 ダイエー子会社のビッグ・エー(東京都板橋区)が「エブリデー・ロー・プライス(EDLP)」手法で売り上げを伸ばしている。内需縮小など逆風下にありながらも、10年超で売上高、店舗数(2012年2月時点で175店舗)を1.5倍ほどに伸ばしている。独小売り大手のアルディを参考に国内では独自路線を歩む。

 ビッグ・エーの特徴はEDLPを実現するための徹底したコスト削減にある。まず段ボール箱から取り出さずにそのまま店頭に並べるケース陳列を基本にする。店員が箱から商品を出して陳列する手間を極力省くための工夫だ。商品数も4~5年前は3000超あったが、現状は2500ほどに絞り込んでいる。

 こうした施策を積み重ねることで人手を極力減らしている。店内が来店客で賑わう午後5時から午後9時でも店員の数は3人だ。午後0時から午後5時、深夜に至っては2人体制である。これだけの少人数で、発注から陳列、レジでの精算までをこなす。

 ビッグ・エーが参考にするのは、親会社のダイエーでも国内の競合他社でもない。独小売り大手のアルディだ。10年ほど前から、アルディの店舗があるドイツや米国に社員を派遣し、店舗の作り方や運営方法などを学んでいる。「330平方メートル~363平方メートルが基本のディスカウント業態は、国内では当社以外にない」(ビッグ・エーの小嶋弘義代表取締役社長、写真)。

 現状は関東で170店舗超を展開しているが、今後3年をメドに200店舗まで増やしたい考えだ。大手コンビニチェーンがディスカウント業態に進出するなど競争は激化の一途を辿っている。厳しい経営環境のなか、ビッグ・エーは店舗運営の標準化やプライベートブランド商品の拡充などを急ぎ、「価格では負けない」(小嶋社長)方針を貫いていく。