富士電機は中国の現地法人に、インメモリーBI(Business Intelligence)ソフトを使った、業務データ分析システムを導入した。同社は、グループ企業のシナジー効果の最大化、グローバルな事業展開の強化に向け、ITによる経営、営業、工場の見える化を推進している。その一環として、これまで国内で受注・売上、受注・売上予測の集計などに活用してきた業務データ分析システムを基に、海外の各現地法人向けシステムを順次開発し、展開する計画。中国の現地法人への展開は、グローバル展開のモデルケースとの位置付けで、2011年4月から10月にかけて段階的に運用を始めた。

 今回のプロジェクトでは、試作システムを構築しそれを基に詳細な要件をまとめる、という開発プロセスを採用した。2010年7月に現地法人の利用部門におけるシステム化のニーズを調査し、3カ月後の10月には試作システムを構築。翌11月に試作システムの説明会を現地で開催して、システムに関する具体的な要求をまとめた。要求は50個に上り、その中から40個を選別。さらに重要性などに基づいてランク分けして、段階的にシステムに実装した。

 新システムの開発に当たっては、データ連携する業務システムのデータ項目が分析用途では不足している、という問題が見つかった。そこで、該当する業務システムのデータ項目を改めて整備した。

 インメモリーBIソフトとして、スウェーデンQlikTechの「QlikView」を採用した。このソフトは、富士電機がグループ標準の一つとしているもの。業務データ分析システムのサーバーは日本のデータセンターに配置し、中国の現地法人からはIP-VPNで接続して利用する。ユーザー認証には、富士電機が基幹業務システムなどを対象に構築したシングルサインオンシステムを使う。このシングルサインオンシステムによって、ユーザーが所属する部署ごとに、公開するデータの範囲を制限している。