写真1●改良後のラッシュジャパンのトップページ。メニュー以外を4区画に分割し、新商品や期間限定商品を目立たせた
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写真2●2011年10月に実施されたラッシュジャパンの店長向け「ソーシャルメディアトレーニング」の模様
写真2●2011年10月に実施されたラッシュジャパンの店長向け「ソーシャルメディアトレーニング」の模様
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 石鹸やバス用品などの製造・販売を手掛けるラッシュジャパン(神奈川県愛川町)がインターネットを通じた通信販売の強化を進めている。英国に本社を構え、1999年に日本へ進出してから、全国のショッピングセンターなどに出店した約150での店舗販売が主力だったが、無店舗販売を強化するために、2011年6月から順次ウェブサイトの刷新と、Twitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)といったソーシャルメディア活用を進めた。

 2011年12月末までに、サイト全体のアクセス数が改善前の約7%増になり、利用者当たりの平均滞在時間は4~5割増えた。ギフト商品などサイトで目立たせた商品の売り上げは従来の2~9倍に増えており、サイト全体の売上高も数%押し上げている。

 ラッシュジャパンが実施した施策は主に2つある。1つはサイトのトップページの改善だ(写真1)。ネットマーケティングのコンサルティングを手掛けるクリエイティブホープ(東京都新宿区)の助言を受け、刷新前のサイトの問題点を洗い出した。

 課題として浮かび上がってきたのは、リピーターへの訴求の仕方だった。ネット通販購入者の7~8割はリピーターが占めているにもかかわらず、リピーターが注目するバス用品などの新商品告知が、画面上で目立たない位置にあった。これを改善するために、サイトのトップページのうち最初に表示される1画面分を4分割し、うち3区画を新商品や限定商品の告知に割くようにした。残りの1区画は、新規顧客が関心を示しやすい販売ランキングを表示するようにした。

全店舗がツイッターで情報発信

 2つ目は、ソーシャルメディアの全社的な活用である。全社にソーシャルメディア活用を浸透させるために、全約150店舗で店長用のツイッターIDを作成。さらに2011年10月に実施した店長会で「ソーシャルメディアトレーニング」を実施した(写真2)。ツイッターの使い方や、ネット上のマナーなどを周知徹底したうえで、全店舗が個別に情報発信を始めている。

 フェイスブックについては、2011年6月に自社ページを開設。8月末までにファン数は約2000人になり、さらに12月末には約5500人まで急増した。新商品の宣伝だけではなく、工場内や店長会の様子などを動画・写真で配信して、ラッシュ自体に興味を持ってもらうように工夫している。管理者による投稿を基に話題を展開している利用者の比率も10.6%に上り、一般ユーザーも活発に参加していることが分かる。

 ラッシュは世界約40カ国で事業展開している。「ものづくりに直結する部分以外には極力コストをかけない」方針を掲げ、包装材は最低限にとどめる、純広告には一切費用をかけない、といったユニークな施策を実践している。今回の取り組みもその一環だ。「広告費をかけない分、施策によってすぐに売り上げが増えるような即効性は無いが、時間をかけながら口コミで当社商品の良さを広めていきたい」(馬込円WEBディレクター)という。