積水化学工業が2009年度から続ける「モノづくり革新活動Part2」で成果を上げている。2011年3月に、モデル職場に設定した「樹脂押し出し成型ライン」でランニングの不良ゼロに成功。それ以来、2011年12月まで不良ゼロを継続している。工程の不良が減ったことで原材料の廃棄物も減り、一連の革新活動により過去2年間で廃棄物コスト(マテリアルフローコスト会計に基づくコスト)は合計13億円削減できた。

 不良ゼロの対象になったのは、老朽化した地中の下水管を更生するのに用いる樹脂製品を生産するラインだ。1本が1000mにもなる非常に長い製品を製造している。この樹脂は下水管の内壁に沿ってらせん状に巻き付け、新しい管路を形成するのに使う。

 ラインでは、まるでところてんを作る時のように、金型に樹脂を流し込んで、押し出して長い製品を生成する。非常に大きな製品になるため、「一度ラインが止まると、結果的に廃棄しなければならない樹脂が大量に発生していた」(モノづくり革新センターの中原康博担当部長)。

そこでモノづくり革新センターは、この押し出し成型ラインに「品質工学(タグチメソッド)」の手法を持ち込み、樹脂の詰まりが発生する製造条件を探り始めた。すると金型の入り口付近に一定量の樹脂がたまり出すと、トラブルが起きやすくなることを突き止めた。そこで事前にたまりを無くすようにするなどして、不良ゼロラインをまず1つ構築するのに成功した。今後は別のラインにも横展開していく考えだ。

 積水化学は2006年度から2008年度にかけて、現場のものづくりを見直す「モノづくり革新活動」を実施した。その推進組織であるモノづくり革新センターは当初3年間限定の活動予定だったが、不良ゼロやエネルギー半減というより高い目標の達成を掲げて、その後も続けた経緯がある。2009年度にはモノづくり革新活動Part2として、再スタートを切っていた。